傘に関する社会問題、迷惑行為、マナー問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:23 UTC 版)
「傘」の記事における「傘に関する社会問題、迷惑行為、マナー問題」の解説
傘は、雨天があがり不要となるとその存在が忘れられてしまうことが多く、交通機関などの公衆の場面における忘れ物として、常に上位に位置しており、毎年大量の忘れ傘が廃棄されている。また、強風で骨が折れてしまった傘がそのまま道端に捨てられていることもよくある。 一方で、傘は自転車とともに公共施設で盗まれやすい物の代表でもある。天気予報が外れて突然雨が降ってきた日に、折りたたみ傘を持っていない者が、店など公共施設や職場の傘立てに置いてある他人の傘を勝手に使うというケースが多い。最も盗まれやすい傘は、外観だけで個人の所有物と判別できず、もし盗んでいる所を持ち主に指摘されても「自分の傘と似ているので間違えました」と言い訳できる透明のビニール傘や黒無地の傘であるが、高級ブランド傘も盗まれやすい。また自分のビニール傘を持っていても、よりきれいで新しいビニール傘が置かれていたら自分の錆びた古いビニール傘と交換していく者もいる。こうした盗難や交換されるのを防ぐには、高くない柄物の傘を使う、名前を書くといった対策が有効。傘を盗む者の中には、「透明のビニール傘は共有の財産で、みんながシェアして使うもの」と言い訳をする者もいる。自分のビニール傘を盗まれた人が、困ったのでやむを得ず自分もまた誰かのビニール傘を盗むといった盗難の連鎖が起きることがある。 こうしたことを受け、コンビニでは忘れ物の傘を無料で貸してくれる所もある。また、交通機関などの駅などでは無料または低価格で傘を貸し出す「貸し傘」も存在し、傘の表面に入れた広告による収入などを原資として運営されるケースも見られるが、傘を貴重品と考えない人がほとんどとなっている現代においては、貸し出された傘をそのまま自宅や勤務先・学校の置き傘に転用したり、別の場所に置き忘れるなどして貸出先に返却しない例も多く見られ、その返却率の悪さから「貸し傘」の運営が廃止されることも多い。 前述のような傘の置き忘れや盗難を防ぐために、雨天の日に公共施設や商業施設などに濡れたままの傘を建物内に持ち込む人がいるが、傘から水滴が落ちて床面が水浸しになり、子供や高齢者が転倒してしまうことがある。このような事故を防ぐため、昨今では入り口などに傘袋(アンブレラバッグ)が用意されていることもある。また、鍵をかけられる傘立ても普及し始めている。 また、自転車を傘をさしたまま運転する「傘さし運転」による交通事故が以前から多かったことを受け、2000年代に入ってから、新たに傘さし運転を取り締まる交通ルールが設定された。その他、傘を水平に持つと、背の低い幼児の顔に当たる危険もあるので、立てて持つようにする、近くに人がいるときは傘を振りまわさない、狭い通路を傘をさして人とすれ違う時は少し閉じたり、背の高い方の人が傘を上に高くあげてぶつからないようにするなど、傘を使う人のマナーや思いやりが求められている。 成人男性が畳んだ傘を横向きに持つと先端が子供の目の高さと重なってしまうため、日本洋傘振興協議会では「U字部分の手元を持ち、石突きと呼ばれる傘の先端が地面の方向に向かうように持ってほしい」とアナウンスしている。
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