使用禁止に向けた動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:50 UTC 版)
「クラスター爆弾」の記事における「使用禁止に向けた動き」の解説
2006年2月16日には、世界に先駆けてベルギーがクラスター爆弾を法的に禁止した。2007年2月22日と2月23日には、ノルウェーが呼びかけたクラスター爆弾禁止に関する国際会議が、ノルウェーの首都オスロで開催された。49か国が参加したこの会議では、参加国中の46か国によって2008年中にクラスター爆弾の使用・製造・移動・備蓄の禁止条約を実現させることを目指すという内容の「オスロ宣言」が採択された。この宣言は、「受け入れがたい民間人被害をもたらすクラスター爆弾を禁止する条約を08年中に作る」とも述べ、クラスター爆弾の廃棄、使用された爆弾の撤去や被害者のケアへの枠組づくりも含んでいる。ノルウェーなどの提唱有志国が禁止条約作りを目指す運動を「オスロ・プロセス」と呼ぶ。 同会議に参加していた日本、ポーランド、ルーマニアの3か国はこの宣言に加わらなかった。アメリカ、イスラエル、ロシア、中国など、主要なクラスター爆弾の配備運用国は会議そのものに参加していない。イギリスは土壇場で参加を決め、会議の翌月に英軍が使用するクラスター爆弾を自爆機能ありのものに切り替え、不発弾による被害を生じやすいものは即時使用を停止し、廃棄することを決定した。オスロ会議の前後にはノルウェーやオーストリア、スイスなどがクラスター爆弾の使用を凍結している。2006年2月に使用を禁止したベルギーは、会議後の2007年3月にはクラスター爆弾の製造企業への投資を違法とした。 日本が当初宣言に加わらなかった理由は、国際的に見て特殊な防衛事情を持つ日本の安全保障上の判断とされている。詳細は「保有国の対応」の節を参照。 2007年5月23日から5月25日までは、ペルーの首都リマで68か国が参加して「クラスター爆弾禁止リマ会議」が開催されたが、禁止条約の草案の合意には至らなかった。 2008年5月28日のダブリンでの国際会議で、無力化機能を有する一部の型を除いて禁止する条約案が合意された。条約文第2条は、「禁止対象とならないクラスター弾」の要件を以下のようなものとしている。 (第2条2項c) - 周囲に対する無差別的な影響ならびに不発弾による危険性を回避するために次の特性を備える弾薬。10個未満の爆発性子弾しか含まない。 それぞれの爆発性子弾の重量が4キログラム以上である。 単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。 電気式の自己破壊装置を備えている。 電気式の自己不活性機能を備えている。 2016年9月、アメリカで唯一製造していたテキストロンが製造中止を決定した。
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