会員宿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 07:45 UTC 版)
全国各地の温泉旅館が会員として加盟している。ただし加盟するにあたっては、入会を希望したり推薦された旅館が、入会審査にとおることが条件である。「秘湯」の名を冠しているが、その限定した基準のみで判断されるわけではないし、すべて明文化できるものではない。宿の環境はもちろんのこと、温泉などに対する会の理念と一致しているか、会の事業や活動に参加できるかどうか、など多様な面から総合的に審査される。 数時間の登山をしなければ辿り着かない一軒宿や、自家発電のみ、固定電話無しの施設も珍しくない。会員旅館が少ないためか宿同士の交流が深く、宿泊帰りに別の会員旅館を勧めてくれることもある。加盟しているのは、おおむね小規模から中規模の旅館で、民芸調・純和風旅館・山小屋風など秘湯のイメージに沿う施設が多い。一軒宿の比率も高い。つり橋を渡らないと辿り着けなかったり、豪雪や道路などが冬季閉鎖してしまうため半年しか営業できない山の温泉もある。また大自然の登山の玄関となり登山者の命の砦になっていたり登山道の整備を行っていたりする宿もある。国立公園国定公園や水源かん養保安林、自然公園などの自然豊かな地域に囲まれている場所が多い。 ただし、加盟申請を行った宿だけによる会であるため、誰もが秘湯と認めるような宿がすべて加入している訳ではない。創立当初は、もともとは山奥や陸の孤島と云われるような辺鄙な田舎にある湯治場だった宿や、豪雪や道路が冬季封鎖され半年ほどしか営業できない山奥の温泉も多かった。しかし、発足から半世紀近くたち、時代も様々に変化して宿の環境も変わってしまった場合もある。入会後に交通の便が良くなったり、周辺の観光開発の進展などにより、往年の秘湯のイメージが薄らいでしまった場合もある(一見、道路も良くなって快適な建物に変わっていても、雪の時期になると新聞配達は郵便だったり遅れたりする。人里離れ不便なために、クリーニング店などが足を運びたがらない場所も多い)。しかし、温泉や自然環境の保全の旗手となり、秘湯文化や歴史を刻み、温泉文化を守り未来へ引き継いでゆく使命も担う存在でもあり、ただちに会員資格がなくなるということはない。宿によっては、現代風の建物や佇まいの中に、往時の歴史を大切に遺していることもあるので、旅の発見の楽しみにもなる。 会員宿である事を示す「日本秘湯を守る会(宿)」の提灯は、各旅館の玄関先に提げられていることが多く、テレビの旅番組などでよく見られる光景である。この提灯を頼りにその日の宿泊先や入浴先を決める客も多い。
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