伊藤詩織との係争
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2015年4月3日、当時TBSの政治部記者でワシントン支局長だった山口は、一時帰国中に伊藤詩織と東京都内で会食。同日深夜から4日早朝にかけて準強姦の被害を被ったとして、9日に伊藤が原宿警察署に相談、30日に高輪警察署が準強姦容疑で告訴状を受理した。8月26日に山口は書類送検された。 2016年7月22日、東京地検が山口を嫌疑不十分で不起訴処分とした。さらに2017年9月21日(公表は22日)、市民からなる東京第六検察審査会が「慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足る事由がなかった」とし、不起訴相当と議決した。 2017年9月28日、伊藤が「望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として、山口を相手に1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。その直後の10月18日、伊藤が自らの訴えを綴った手記『Black Box』を出版し、24日には日本外国特派員協会で会見を行った。一方で山口は同月26日発売の月刊『Hanada』に、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題する手記を掲載し、その中で伊藤の主張を全面的に否定した。 2019年2月、山口が「伊藤さんの記者会見での発言などで社会的信用を奪われた」として伊藤を相手に慰謝料1億3000万円と謝罪広告の掲載を求めて反訴した。 裁判は山口、伊藤の双方の訴えを同時に審理し、12月18日、東京地裁〈鈴木昭洋裁判長〉は山口の伊藤への性暴力を認定。山口に対し伊藤への慰謝料など330万円の支払いを命じ、山口の伊藤への請求は棄却した。同日、山口は記者会見で「内容に全く納得いかない」として、原訴訟と反訴の両方について控訴する方針を示した。2020年1月6日、山口は330万円の支払いを命じた民事訴訟の地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。 2019年6月、山口は「伊藤詩織氏が虚偽の犯罪被害を捏造して警察や裁判所に訴え出た上に、『デートレイプドラッグを盛られた』など、裁判では一切主張していない事を含め、ウソや捏造や根拠のない思い込みを世界中で繰り返し発信して、私の名誉を著しく毀損し続けている」として、虚偽告訴と名誉棄損で伊藤を刑事告訴した。2019年7月に警察に告訴状が正式に受理されて伊藤に対する捜査が実施され、2020年09月28日に伊藤は同容疑で書類送検された。12月25日、東京地検は山口の訴えを退け伊藤を不起訴処分とした。 2022年1月24日、月間Hanadaプラス 「しかし百歩譲って、伊藤氏が本当に覚えていないとしても、それは警察の言うとおり、飲みすぎて記憶が飛んでしまった『アルコール性健忘』なのであって、そもそも犯罪行為など全くなかったのである。繰り返すが、善意に解釈しても、伊藤氏はアルコールを自ら過剰に摂取したために、自分で何をしたか忘れてしまっただけなのである。『犯罪事実がなかった』以上、警察も検察も検察審査会も、伊藤氏の主張を退ける。当たり前のことである。」と犯罪性を全面的に否定した。 2022年1月25日、東京高裁〈中山孝雄裁判長〉は「山口が同意なく性行為に及んだ」と述べ、一審・東京地裁判決を追認した。賠償額は、治療関係費としての約2万円を加えた約332万円の支払いを山口に命じた。一方、伊藤の著書や会見などで名誉を傷つけられたとする山口の主張の一部も認め、伊藤に55万円の賠償支払いを命じた。山口、伊藤の双方がこの判決を不服として最高裁に上告した。
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