人間活動に伴う汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:25 UTC 版)
さらに近年、漂着ごみによる海岸への悪影響が深刻な問題となりつつあり、太平洋ゴミベルトといわれるゴミの山が渦巻く海域を生んでいる。中でもプラスチックの樹脂は水に溶けにくく形状を保持する性質があるため、海においても生態系に悪影響を及ぼす。米ジョージア大学の研究結果では、海に流出したプラスチックの量が、2010年の1年間だけで480万トンから最大1,270万トンにのぼると推計した。200種以上の海洋生物がプラスチックを誤飲、摂食していると懸念されている。ウミガメや大型魚類、鳥などがビニール袋をクラゲなどのエサと勘違いして食べ、消化管が詰まって死に至るという問題も起こっている。プラスチックは海水中でも物質として存続しやすいため、海流や波、風によって長い間漂流、循環する傾向がある。直径5mm以下のマイクロプラスチックなど小さく砕けて動物プランクトン、さらにそれを食べる魚など、食物連鎖にしたがって体内に入り込み、生態系に悪影響を与えている。これらのプラスチック片にはPCBなどの有害物質を付着し脂肪に濃縮されていることがある。このため2018年頃から、化学メーカーや大手小売チェーンなどがストローなどのプラスチック製品を生産・使用しない企業ポリシーを打ち出し始めた。 また、上記のような汚染だけではなく、漁獲資源の乱獲による海洋生態系の崩壊も問題になっており、これもまた広義の海洋汚染として認識されつつある。1960年代からの大規模なトロール業の開始と、魚群探知機などに代表される行き過ぎた漁業技術の進歩により、現在では多くの大型魚類資源がかつての量の10%以下となっており、絶滅も心配されている。この結果、主要な小型魚種の不安定的な資源量変動が生じ、海洋生態系を構成する生態系ピラミッドの改変(クラゲやヒトデなどの大発生に代表される、いわゆる「海のスライム化」)の要因のひとつと考えられている。 排水の規制により、河川水質は一定改善されたが、閉鎖性水域の水質が改善されない原因として、底質汚染の問題があり、底質汚染が水質汚染の原因と一つとなっている。このため、国土交通省は技術的資料や、考え方などを2007年にとりまとめ、対応している。
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