人間活動における色素の応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:31 UTC 版)
人間活動における色素の位置づけを考える時、人間の印象に与える色彩の影響力には強いものがある。それ故、種々の顔料あるいは染料が、市場で取引される商品に特徴を与えるものとして求められてきた。19世紀に有機化学が最初に実用化された分野の一つが染色の化学であった。同世紀に軽工業が産業化するとともに多くの色素が求められ、有機化学の発展とともに多くの色素が発見・開発された。また、色素による染色法を応用することで多くの細胞小器官が発見され細胞生物学の発展に色素が寄与した。そして、生物学と同様に生理学や医学の発展にも色素と染色とが応用され、医療技術の発展にも大きく寄与している。例えば、色素が持つ染色の選択性から、エールリッヒは「魔法の弾丸」という着想を得、それが化学療法剤の礎となった。 また現代社会に目を転じてみると、機能性色素は写真、コピー、印刷、光通信媒体、光記録媒体などを始めとして、色素は種々の情報メディアに大量かつ広範囲に利用されている。したがって、色素の存在なくしては今日の情報化社会は語ることが出来ない。 先の動物などが獲得した警戒色、保護色などを、人間の心理的な解釈へ応用した例(信号灯、ポリスラインなど)も見られる。色について、赤はヘモグロビン由来の血の色を連想させて興奮や攻撃、気分の高揚を、青系統の色は鎮静、白は清潔感などをイメージさせると説明されるが、なかには偏見による解釈の誘導も見られ、必ずしもそれらが人間が本来もつ生理学的な解釈とは言えないものも含まれている。
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