人員、訓練
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 04:14 UTC 版)
入隊要件は組織によって大幅に異なる。連邦軍よりも緩和された基準を採用している州防衛軍もあれば、州兵組織との連携、あるいは州間・省庁間の合同任務を重視し、連邦軍と同等の厳しい基準を採用している州防衛軍(あるいは特定の部隊)もある。 例えば、カリフォルニア州防衛隊(英語版)では入隊前の体力テストは行われず、体重や身長の制限も連邦軍ほど厳しくはないが、緊急対応コマンドおよび水上部隊で消防、捜索救助、および海上捜索救助/潜水等の特定の任務に従事する隊員に対しては、厳しい体力テスト、背嚢を背負った状態での行軍訓練、様々な適性テストなどが別途義務付けられている。また、同州防衛隊の山火事消防員(wildland firefighters)は、全米山火事調整グループ(英語版)(NWCG)が定めるレッドカード認定を受けた後、州兵の消防員と同様にカリフォルニア省庁間合同消防訓練プログラムを修了しなければならない。テキサス州防衛隊も入隊要件は最小限度だが、水上連隊の潜水および捜索救助班(Dive, Rescue, and Recovery Team)では、総合的な体力テストでの合格とテキサス州海事ダイバー学校(Texas Maritime Dive School)の卒業が追加の要件となっている。 士官候補生学校は、各州の州兵総監および州軍務省によって管轄される。連邦政府および州政府から二重の任命を受ける州兵らとよく似ているが、各州軍法および合衆国法典第32編第109条に基づき、州防衛軍士官候補生学校の卒業者たる士官らは、各州政府からの任命のみを受ける。州軍組織(州防衛軍および州兵)の統合が進んでいる州では、士官候補生学校のカリキュラムも両組織でほぼ共通のものが採用されているが、州兵に対してのみ連邦政府の承認を受けるための追加の課程(FEDREC)が存在する。例えば、カリフォルニアではキャンプ・サン・ルイス・オビスポ(英語版)内に州防衛隊と州兵の士官候補生学校がともに設置されており、州防衛隊の候補生は11-12ヶ月、州兵の候補生は16-18ヶ月の教育を受けることつぁれ、卒業式は合同で行われる。 防衛軍協会(英語版)が定める軍事緊急対処特技章(英語版)(MEMS章)は、多くの州防衛軍における標準的な訓練基準に採用されている。アラバマ、カリフォルニア、インディアナ、オハイオでは、隊員の昇進時の必須要件ともされている。MEMS章の取得のためにはオンラインでの通信教育や各州MEMS学校での講習が用意されている。これには連邦緊急事態管理庁など関連諸機関が提供する講座や地元での防災対処に焦点を絞った訓練・演習などが含まれる。 いくつかの州防衛軍では、連邦緊急事態管理庁市民部隊(英語版)が提供する訓練を利用して地域危機緊急対応チーム(英語版)(CERT)の編成を行っている。また、陸軍の方針に従い、CERT隊員にレンジャー・タブ(英語版)などと同型の記章を与えている州もある。 医療予備部隊(英語版)を編成に加えている州防衛軍もある。ニューメキシコ州防衛軍(英語版)隷下の第47医務中隊、メリーランド防衛軍(英語版)隷下の第10医務連隊、テキサス州防衛隊隷下の医務旅団などは、公衆衛生局長官のもと市民部隊が提供する訓練を受けた医療予備部隊であり、同時に州防衛軍の部隊としても存在している。 銃火器を用いた訓練を行っている州防衛軍も存在するものの、ほとんどの組織で重要視されていない。2006年に防衛軍協会の系列団体であるアメリカ自由基金(U.S. Freedom Foundation)が報告したところによれば、防衛軍協会が推奨する最低限の訓練水準には銃火器訓練も含まれているが、多くの組織で実施されていないとしている。また、州議会あるいは州知事の命令のもと出動する際、防衛軍隊員の武装を認める州法を有する州もある。
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