人の健康及び生活環境への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:19 UTC 版)
「風力発電」の記事における「人の健康及び生活環境への影響」の解説
風力発電の課題のひとつに騒音対策・低周波対策がある。 人家に近接して設置された場合に、近隣住民がめまい・動悸・耳鳴りなどの違和感を訴える例が出てきた。ブレードやタービン部が出す風切り音などの騒音や低周波振動 が原因だろうと指摘されるようになった。日本各地で建設反対運動が起き、ドイツでは建設済みの発電所の撤去を命じる判決も出た。 騒音・低周波などが報道などで知られるようになり、設置計画に対して予定地の住民の反対運動がおきる例も出たため、騒音や低周波の対策が研究され、対策が検討されたり、それが具体的に打たれるようになった。 技術的な改善策の1つが、ブレードの翼断面の改良である。昔の風車では航空機用の翼断面を用いていたため、翼端周速が100〜120m/sに達し、騒音を大きくする要因となっていた。この翼端周速は風車専用の翼断面(厚翼)を用いることで大幅に低下し、現在は大型機でも60m/s程度となっている。さらに、多極式発電機の採用によるギアレス化(ギアノイズを排除)、ダウンウインド型からアップウインド型への移行(タワー下流の乱れた気流を横切る音を排除)などの対策により、騒音は200m-300m程度離れれば周囲の風音と区別がつかない水準(または「冷蔵庫程度の騒音」)にまで減少する。 また、風力発電機が立てられ始めた頃から、電波障害への懸念が相当数存在していたが実際にはそれほどの苦情は発生していない。電波障害となる要因には遮蔽障害と反射障害が考えられ、それぞれが回転翼部分と静止しているタワーとその先端のナセル部分が影響する可能性がある。21世紀現在の回転翼は全て繊維強化樹脂製であり電波に対して有意な影響を与えないと考えられるため、TV送信塔と住宅との間に設置しない事やナセル筐体の反射を低減する等のナセルとタワーの影響を事前に確認することで解決できる。また、ナセル内の発電機や付随する電力機器類からの電波ノイズの防止と遮蔽も考慮されなければならない。騒音以外にはシャドーフリッカーもしくはストロボ効果といわれる回転する羽によって断続的に横切る影が問題視され、これは生態系にも影響を与えると考えられている。対策としては今のところ太陽が低位置にある場合は風車を停止する以外にはない。風力発電装置は民家からできるだけはなれたところに設置することが望ましいとされており、計画段階からそれに注意すべきであるとされる。イギリスでは民家から5kmの距離を取る様に定められている。
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