二つの逸話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:55 UTC 版)
『西遊記』の構成部分世徳堂本西遊真詮概要I 大鬧天宮 1~7回 1~7回 石猿の孫悟空が天界で騒動を起こした後、五行山に閉じ込められる II 観音東来 8回 8回 釈迦如来の要望を受け観音菩薩が取経者を求めて東方へ旅し、沙悟浄・猪悟能・龍馬・孫悟空に取経者の補佐を命じる III 江流和尚 - 9回 三蔵法師の出生秘話。陳光蕋が盗賊に襲われ、妻は赤児を長江に流す。金山寺の法明和尚に拾われた赤児は江流と名付けられ、成長して玄奘となる IV 太宗入冥(魏徴斬龍) 9~12回 10~12回 天帝の命を破った涇河龍王が太宗の重臣魏徴に処刑される。その呪いで病没した太宗が地獄巡りを行って寿命を回復する V 西天取経(八十一難) 13~100回 13~100回 玄奘が天竺へ旅し、孫悟空・猪八戒・沙悟浄・龍馬の供を得て、様々な妖魔や法難を乗り越え、ついに天竺に到着して取経に成功する 西遊記の主要部分は、(V)三蔵一行の西天取経であり、冒頭の(I)大鬧天宮や(II)観音菩薩の東下などは主要登場人物の紹介を行う段となっている。しかしその間に、他の部分とは関連性が薄く毛色の変わった部分が2つ存在する。三蔵の誕生にまつわる逸話「(III)陳光蕋江流和尚」と、太宗皇帝の側近魏徴が龍王を斬ったことから太宗が地獄巡りを行うことになる「(IV)太宗入冥(魏徴斬龍)」である。特に江流和尚は、いくつかの刊本に採用されながら世徳堂本では削除されていることもあり、刊本の前後関係や系統を推測する際の論拠にまでなっている。これら『西遊記』成立過程に関わる2つの逸話の由来について概説する。
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