事故に伴う油の流出と回収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 07:37 UTC 版)
「箱崎ふ頭貨物船火災沈没事故」の記事における「事故に伴う油の流出と回収」の解説
事故に伴う油の流出と回収については次の通り。 福岡市は、2017年(平成29年)4月25日0時35分ごろ、消防隊から本船が沈没する可能性がある旨の連絡を受けたが、本船からの油の流出が可能性の段階であること、及び本船の燃料油に引火、炎上する危険も否定できないなとの情報があったことから、その時点でオイルフェンスの設置は困難であると判断し、待機を続けた。 同日4時54分頃に本船が沈没し、油の流出が認められたため、福岡市はその旨の連絡を受け、船舶所有者に対して油の防除作業を講じるよう指示したものの、同社から即時の対応は困難である旨の回答があったことから、5時40分頃オイルフェンス設置会社に同フェンスの設置を依頼した。さらに、福岡市は、事故発生場所の北側を流れる多々良川等への油の流入を防止するため、9時0分頃箱崎ふ頭北側の水面貯木場周辺の防波堤開口部2か所に自らオイルフェンスを設置した。本船の周囲については、10時0分頃にオイルフェンス設置会社により本船の沖側を囲う1重目のオイルフェンスが設置されたものの、同オイルフェンスと岸壁との接合部から油の流出が認められたため、15時0分頃船舶所有者がオイルフェンス設置会社に依頼し、17時0分頃本船の岸壁側を囲う1重目のオイルフェンスが設置された。また、サルベージ会社により17時25分ごろ燃料タンクのエア抜き菅が閉鎖された。 本船から流出した重油等の油は、沈没の4時54分頃から本船の沖側を囲う1重目のオイルフェンスが設置される10時0分頃までの約5時間の間に拡散し、また、この10時0分頃から本船の岸壁側を囲う1重目のオイルフェンスが設置される17時0分頃まで、潮位の変化に伴って生じたオイルフェンスの隙間から油の拡散が継続した可能性も考えられている。 油の流出量については、福岡海上保安部によると、本船は、本事故当時、C重油約84.2キロリットル及びA重油約20.0キロリットルの重油計104.2キロリットル並びに潤滑油約0.6キロリットルを積載しており、沈没後に燃料タンクからサルベージ会社により抜き取られた油量の推算が約41.2キロリットル、沈没から約12時間30分後に本船の燃料油エア抜き管が閉鎖されるまでの間、燃料タンクから推算で約63.0キロリットルの重油が流出した可能性があると考えられており、サルベージ会社が実施したオイルフェンス内の回収油量が推算で約39.1キロリットルであることから、推算で約23.9キロリットルの油がオイルフェンス外の博多湾内等に流出した可能性があると考えられている。 なお、その後も本船の沖側を囲うオイルフェンスの追加が続けられ、4月26日14時30分頃に2重目、27日19時25分頃に3重目、28日12時10分頃に4重目、30日18時50分頃に5重目が設置された。 オイルフェンス外に拡散した海域や河川における油の回収作業については、油吸着マットによる回収、船舶からの放水、船舶の走行による攪拌作業が、陸域においては汚損した海浜砂の除去等が実施された。
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