主な惑星の探査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 10:39 UTC 版)
探査機を使った日本の主な科学的成果はさきがけ・すいせいによる彗星や、はやぶさによる小惑星といった小天体に限られる。日本で初めての惑星探査は1998年に打ち上げられた火星探査機のぞみによるものだが、火星に到達する前に通信が途絶してしまった。2010年には金星探査機あかつきを打ち上げ、2010年12月に金星上空に到達したものの周回軌道への投入には失敗。その後金星に近い公転軌道を5年飛行したのち、2015年12月におこなわれた再度の周回軌道投入に成功して、日本はアジア初、世界でも4番目の「金星周回機」所持国・機関となった。2018年に欧州宇宙機関と共同で水星探査機ベピ・コロンボを打ち上げる予定であり、成功すればアジア初、世界でも2/3番目の「水星周回機」所持国・機関となる。のぞみに次ぐ火星探査計画MELOSも検討中である。また、日本はイオンエンジンを搭載したはやぶさや、あかつきと同時に打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSによって、化学燃料ロケットによるものとはまったく異なる惑星間航行技術を習得しつつあり、はやぶさは世界初の月以遠の天体との往復航行、IKAROSは世界初のソーラーセイルによる惑星間航行を達成している。将来的にはソーラー電力セイルとイオンエンジンの両方を利用した木星・トロヤ群探査も構想されている。 インドが2013年11月に打ち上げた火星周回機マーズ・オービター・ミッション(通称マンガルヤーン)は、2014年9月24日に火星周回軌道に乗り、アジアで初めて探査機を火星に到達させることに成功した。インドはアジア初で世界でも4番目の「火星周回機」所持国・機関となった。 ある中国の科学者は2009年当時、中国独自の惑星探査機を打ち上げるには今から20年かかると予想していた。中国の蛍火1号はロシアのフォボス・グルントに搭載される形で火星周回軌道への投入が計画され、2011年11月(当初の予定は2009年10月)に打ち上げられたが、前記の通り失敗した。それから約9年後に打ち上げられた天問1号は、2021年5月に周回軌道船と着陸機、それに探査車を稼働させ、中国はアジアで初めて火星軟着陸に成功した。中国科学院では2050年に中国の有人火星探査を計画している。 一方、フォボス・グルントと一緒に打ち上げられる蛍火1号と同様に、あかつきやIKAROSとともに民間宇宙機しんえんが金星へ向かう軌道に投入された。世界初の民間惑星間航行がアジアで実現されるかもしれなかったが、2010年5月22日にシグナルを受信して以来、しんえんの追跡には成功していない。なお、IKAROSは光圧による航行技術の試験、しんえんは宇宙環境におけるコンピュータの耐久試験が主目的であり、金星をフライバイするが観測機器はあまり搭載していない。
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