世界記録更新とGPファイナル3連覇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:51 UTC 版)
「羽生結弦」の記事における「世界記録更新とGPファイナル3連覇」の解説
映画『陰陽師』のサウンドトラックを用いた新たなフリースケーティングを『SEIMEI』と自ら命名。「安倍晴明」の狩衣をイメージした衣装で、シェイ=リーン・ボーン振付による和の表現に挑んだ。 初戦のオータムクラシックで優勝。続くスケートカナダのショートプログラムでは、演技後半のジャンプがルール上カウントされず0点となり73.25点の6位発進と出遅れたが、フリーで自身初となる4回転3本を着氷させて巻き返し2位となる。 続くNHK杯では「挑戦という意味を込めた」として、ショートに4回転サルコウと4回転トウループ - 3回転コンビネーションの4回転2本を組み込む、自身最高難度の構成に急遽変更。ノーミスの演技で、ソチオリンピックで自身が記録した101.45点の世界最高得点を更新する106.33点を記録した。「絶対王者になると言い聞かせることで自分にプレッシャーをかけた」として臨んだ翌日のフリーでは、演技後半の4回転 - 3回転コンビネーションを含む計3本の4回転のほか、すべてのジャンプを成功。技術点は出来栄え評価で23.08点もの加点を獲得し、演技点の「音楽の解釈(Interpretation)」の項目は、ジャッジ9人中6人が10点満点をつける9.89点という圧倒的な演技で安倍晴明を演じきり、史上初の200点台となる216.07点を記録した。トータルスコアでも史上初の300点台となる322.40点を記録し、パトリック・チャンが保持していた295.27点の世界歴代最高得点を大幅に塗り替える前人未到のスコアで優勝を果たした。この大会で羽生はショート、フリー、トータルの全スコアで世界記録を更新。ISUジャッジングシステムにおいて、史上初めてショートプログラムで100点、フリースケーティングで200点、トータルスコアで300点超えを達成した男子選手となった。 さらに2週間後のバルセロナで開催されたグランプリファイナルのショートプログラムにおいて、NHK杯を超える演技を披露。4回転サルコウと、4回転トウループ - 3回転トウループの連続ジャンプは、9人中8人のジャッジがGOE(出来栄え評価)加点で満点の3点をつけ、PCS(プログラム構成点)は満点の50点に肉薄する49.14点をマーク。110.95点を叩き出し、わずか2週間で再び世界記録を塗り替えた。 一日置いたフリーでもノーミスの演技を披露。4回転サルコウ、4回転トウループともにGOE満点を獲得し、技術点は120.92点に到達。構成点では9名のジャッジが10点満点をつけた項目が23にもおよび、NHK杯を超える219.48点を記録。トータルで330.43点というスコアを叩き出し、再びすべての世界記録を更新した。プログラム構成上の上限の点数に対する得点がショートが2.70、フリーが6.31とごくわずかの演技で、男子選手としてISUグランプリファイナル史上初となる3連覇を成し遂げた。歴史的な記録更新に、会場のインタビューで自身の演技を見た子どもへのコメントを求められ「どうかスケートを、練習を、夢をあきらめないで」と語った。 続く全日本選手権ではさらなる記録更新に期待がかけられたが、フリーの演技後半の2度のジャンプの転倒が響き183.73点、トータルは286.36点にとどまった。2位の宇野昌磨に20点近い大差をつけ、男子史上29年ぶりとなる大会4連覇を果たしたものの「ひどい演技。自分の中では勝ったとは思っていない」と悔しさをあらわに、2015年を締めくくる試合を終えた。
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