不正競争防止法改正
企業が取引先などから製品技術や製造ノウハウ、アイデアなどを不正取得される被害が後を絶ちません。こうした虎の子の「営業秘密」が流出すれば企業活動に重大な影響が及びかねませんし、中小企業が被害にあった場合は企業の存亡にかかわります。また通信ネットワークを介して被害が複数の企業に及ぶ恐れもあります。情報機器や通信網の発達により、一度に大量の営業秘密情報が持ち出される事例も増えています。
そこで国は不正競争防止法を改正し、2010年度から営業秘密侵害に対する罰則を強化する予定です。不正取得が行われた段階で捕捉し、刑事処罰を可能にするものです。処罰の対象範囲も拡大します。現行法は営業秘密の使用・開示行為を中心的な処罰対象にしているため、不正取得が行われた段階で捕捉できません。使用・開示行為は被害企業の外で行われることから立証が構造的に難しく、被害企業は泣き寝入りを余儀なくされています。
改正後は使用・開示行為より前段階の不正取得が認められた段階で捕捉できるようになります。不正取得が認められた段階とは、取引先に貸与した営業秘密が秘密保持契約で定めた期日を過ぎても返還されないとか、契約に反してコピーされた時点などを指します。不正競争だけでなく、嫌がらせなどの単なる加害目的や外国政府を利する目的で営業秘密が侵害された場合も対象となり、スパイ行為も含まれます。営業秘密の不正な流出を防止することは、わが国の産業競争力の維持・強化を図ることにもつながります。
ただ、営業秘密侵害に対する罰則が強化されても、秘密保持契約を取り交わすなどの基本的な法的措置を講じていなければ、持ち出した企業を契約違反には問えず、法改正のメリットは受けられないことになります。知的財産権の「見える化」を促進する知的資産経営報告書を作成したり、社内規定で退職する従業員に営業秘密の返還を義務付けたり、「自分の身は自分で守る」ことを基本にすべきでしょう。不正競争防止法の改正は、とくに中小企業にとって営業秘密の守りを固める好機といえます。国や企業団体はガイドラインを作成するなど、早急に支援体制を整えるべきでしょう。
(掲載日:2009/03/30)
そこで国は不正競争防止法を改正し、2010年度から営業秘密侵害に対する罰則を強化する予定です。不正取得が行われた段階で捕捉し、刑事処罰を可能にするものです。処罰の対象範囲も拡大します。現行法は営業秘密の使用・開示行為を中心的な処罰対象にしているため、不正取得が行われた段階で捕捉できません。使用・開示行為は被害企業の外で行われることから立証が構造的に難しく、被害企業は泣き寝入りを余儀なくされています。
改正後は使用・開示行為より前段階の不正取得が認められた段階で捕捉できるようになります。不正取得が認められた段階とは、取引先に貸与した営業秘密が秘密保持契約で定めた期日を過ぎても返還されないとか、契約に反してコピーされた時点などを指します。不正競争だけでなく、嫌がらせなどの単なる加害目的や外国政府を利する目的で営業秘密が侵害された場合も対象となり、スパイ行為も含まれます。営業秘密の不正な流出を防止することは、わが国の産業競争力の維持・強化を図ることにもつながります。
ただ、営業秘密侵害に対する罰則が強化されても、秘密保持契約を取り交わすなどの基本的な法的措置を講じていなければ、持ち出した企業を契約違反には問えず、法改正のメリットは受けられないことになります。知的財産権の「見える化」を促進する知的資産経営報告書を作成したり、社内規定で退職する従業員に営業秘密の返還を義務付けたり、「自分の身は自分で守る」ことを基本にすべきでしょう。不正競争防止法の改正は、とくに中小企業にとって営業秘密の守りを固める好機といえます。国や企業団体はガイドラインを作成するなど、早急に支援体制を整えるべきでしょう。
(掲載日:2009/03/30)
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