上演・放送史
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「アマールと夜の訪問者」の記事における「上演・放送史」の解説
メノッティは放送用オペラということを念頭に『アマールと夜の訪問者』を書いている。「もし、テレビでまたこれをやってくれればラッキーだ。オペラをつくるということは大変な苦労なのだが、それをたった一度の放送で見せて終わってしまうなんて馬鹿げている。」と述べる。 『アマールと夜の訪問者』は、テレビ史上初のクリスマス恒例特番というべきものになる。1947年頃からチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を扱った番組がいくつか放送されているが、『アマール』のように同じ技術スタッフで、同じ放送局から、しかも毎年オンエアされるということは無かった。1951年から1966年の間、NBCテレビはクリスマス・イブの前後、「アルコア・アワー」「NBCテレビオペラ」「ホールマーク・ホール・オブ・フェーム」といった「テレビ名作劇場」のようなかたちで毎年『アマール』を放送し続けた。 メノッティ自身が番組冒頭、画面に登場して、物語の背景を語りオペラの解説をする。また、カーク・ブラウニングや指揮者のトーマス・シッパーズに謝辞を述べる。 初期の3回の放送は白黒(1952年のイースターとクリスマスのときの放送分までが白黒)、1953年の初頭にはカラー化された。これは「オペラ」ということもあり、また、テレビ局の経営陣がテレビでオペラを放送することにあまり乗り気ではなかったため、プライムタイムの番組ではなくお昼のテレビ番組として例外的に編成が組まれたことによる。吹き替え版を通じ、アメリカ国外でも放送された。 長い間、オリジナル版の保存フィルム(キネスコープ)は紛失したものと考えられていたが、残存コピーがペーリー・メディアセンター(The Paley Center for Media、旧The Museum of Television & Radio (MT&R) もしくは The Museum of Broadcasting)で発見され、現在閲覧可能になっている。ただ、テレビ番組としては長年、オンエアされなかった。2007年にビル・マッキーバー (Bill McIver) 演ずる1955年の『アマール』のキネスコープ版がデジタル化され、DVDとして販売されている。 当初、『アマール』は生放送だったが、1963年にキャストを一新し、NBCでビデオに収録された。このビデオ・バージョンのオンエアは1963年から1966年まで。1966年以降は姿を消していたが、1978年に母をテレサ・ストラータス (Teresa Stratas)、アマールにロバート・サポルスキ (Robert Sapolsky)、3人の王様にウィラード・ホワイト (Willard White)、ジョルジオ・トッツイ (Giorgio Tozzi)、ニコ・カステル (Nico Castel) を起用し、ベツレヘム・ロケを交えた新バージョンがNBCで撮影された。しかし、こちらは1951年から1963年までの最初期のもののような毎年恒例の番組にはならなかった。1955年と1978年制作のものはビデオ版でリリースされているのみである。サウンドトラックは1951年と1963年制作のものがRCAビクターからレコード化され、1951年版の方はCD化もされている。1963年版のレコードはステレオ録音された最初のものとなった。
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