一般的な操作方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 04:33 UTC 版)
「キックスターター」の記事における「一般的な操作方法」の解説
エンジンの形式に関わらず、キックスターターによるエンジンの始動操作はおおむね次の通りである。 燃料コックを開けたり、必要ならティクラーやチョークを効かせるといった、事前操作を行なっておく。 ハーレー・ダビッドソンなど旧式の大型バイクの場合は、点火スイッチと燃料コックを切った状態で数回空キック(コールド・スタート・キック)を行う。これはオイルポンプを回してエンジンにエンジンオイルを行き渡らせ、圧縮圧力を十分得られる状態にする意味がある。 キックペダルを軽く何度か踏み込み、単気筒エンジンの気筒、多気筒エンジンならいずれかの気筒の圧縮上死点までクランクシャフトを回しておく。上死点に近づくとキックペダルは次第に重くなり、到達した状態では軽く踏む程度ではペダルは容易には動かなくなる。 デコンプ機構を持つ車種の場合はその操作を行い、シリンダーの圧縮を抜く。デコンプのない車種の場合は、圧縮上死点に達して重くなったキックペダルに少しずつ足で荷重を掛けていき、圧縮が抜けるのを待つ。(重かったキックペダルが急に軽くなると、圧縮が抜けた合図である)。 圧縮を抜いたらもう一度ごく軽くキックペダルを踏み、ピストンを「圧縮上死点を少し過ぎた位置」まで進める。 キックペダルを一度完全に上まで戻す。ハーレー・ダビッドソンなど旧式の大型バイクの場合は数度スロットルを捻り、加速ポンプから燃料を噴射させる。 キックペダルを一気に下まで勢いよく踏みおろし、エンジンを始動させる(ウォーム・スタート・キック)。 以下は操作上の注意点など。 何度も始動に失敗して体力を浪費するのを防ぐ意味もあり、始動性を高める目的で冷間始動でなくてもチョークなどを効かせる場合も多い。ただし、温間時にチョーク弁を閉じると混合気が過濃となり、始動できない場合もある。 「ピストンが圧縮上死点を少し過ぎた位置」を探すのは、車種やエンジンによってその方法やコツが異なる。目視確認できるインジケータや圧縮上死点を乗り越えやすくするためのデコンプレバーが装備されるものもある。しかし、多くの場合はキックペダルが軽い踏み込みでは動かなくなる位置を少し過ぎたあたり、といった曖昧なものである。上記の「圧縮が抜ける位置」とほぼ同じなので、デコンプ機構を持たないエンジンの場合は反復練習をして体感で覚える。2ストロークエンジンは、4ストロークに比べ、相対的に圧縮比が低いことや点火回数が2倍であることから始動性が良好であり、この過程を重視しなくても良い場合がある。 「ケッチン」を防ぐためには、踏みおろしの際は力を込めて、一気に踏み抜く。 数回以内のキックで始動できなかった場合は、デコンプを操作するか、しばらく放置してシリンダー内の混合気が抜けるまで待ってから再挑戦する。混合気がシリンダー内に大量に残っていると、混合気への引火を伴った強烈なケッチンが起こりやすくなる。 キックペダルの操作はライダーの体重をかけて行なうのが普通であり、スタンドを立てた状態で操作していると、その取り付け部分に大きな負荷が掛かる。これを繰り返していると破損する場合があり、車種によっては、スタンドを立てずにキックスターターを操作することを推奨している。
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