ワクチン開発
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2018年現在、認可されて臨床応用されているワクチンは存在しない。1960年代にホルマリン不活化ワクチンが臨床試験に供されたが、対照群の初感染時入院率が2%だったのに対して、ワクチン接種群では80%が入院し患児2名が死亡するという悲惨な結果に終わった。これは抗体依存性感染増強と呼ばれる現象で、RSウイルスワクチンの開発においてはこれを如何に抑制するかが課題となっている。
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ワクチン開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 22:07 UTC 版)
ワクチン開発は、まず病原の培養や不活化・弱毒化などの基礎研究を行った後、動物による非臨床試験をおこない、その後3段階に分けて臨床試験を行う。試験終了後に国による承認審査が行われ、承認されれば生産体制を整え、販売が始まる。この承認審査は各国ごとに行われ、ある国で承認されたワクチンでも他国で使用する場合には当該国での審査が改めて必要となる。ただし、ある国で感染症が流行し有効なワクチンが存在しない時は、緊急対策として他国からワクチンを輸入し審査なしで使用することが認められる場合がある。ワクチン開発の際重視される条件は、感染症予防・重症化阻止の効果、副反応などを最小限に抑えた安全性、そして開発・生産・接種コストを中心とする経済性の3点であり、これらのうち一つでも顕著に問題が存在した場合は実用化はなされない。こうした厳しい条件を満たす必要があるため、ワクチン開発にかかる期間は非常に長く、最短でも10年近くは必要となる。 ワクチン開発には多額の資金と期間がかかるうえに、多数の人々に接種を行う関係上巨大な生産力も必要となるため、資本力に優れた大企業が開発・供給を主導する傾向にあり、寡占化が進んでいる。2019年にはイギリスのグラクソ・スミスクライン、アメリカのメルク、アメリカのファイザー、そしてフランスのサノフィの4大企業でワクチン市場の79%のシェアを占めている。これにスイスのノバルティスを加えた5社は5大ワクチンメーカーと呼ばれる。ワクチン市場は巨大であり、2018年には3兆9500億円の市場規模を持っている上、さらに急速な拡大が見込まれている。 新たな感染症に対するワクチン開発は、多額の投資と時間を要するため、流行が収束して関心が低下すると資金が滞り中断を余儀なくされることがある。グラクソ・スミスクラインの例では、エボラ出血熱に対応するワクチン開発を長らく行ってきたが、臨床試験の最終段階の時点で流行が広がっていたのは最貧国のコンゴ民主共和国であり、金銭的リターンが事実上見込めないとして開発継続を断念。ワクチン候補を2019年までにアメリカの非営利機関に昨年譲渡した。
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