リー代数
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数学において、リー代数 (リーだいすう、Lie algebra)、もしくはリー環(リーかん)[注 1]は、「リー括弧積」(リーブラケット、Lie bracket)と呼ばれる非結合的な乗法 [x, y] を備えたベクトル空間である。無限小変換 (infinitesimal transformation) の概念を研究するために導入された。"Lie algebra" という言葉は、ソフス・リーに因んで、1930年代にヘルマン・ワイルにより導入された。古い文献では、無限小群 (infinitesimal group) という言葉も使われている。
リー代数はリー群と密接な関係にある。リー群とは群でも滑らかな多様体でもあるようなもので、積と逆元を取る群演算が滑らかであるようなものである。任意のリー群からリー代数が生じる。逆に、実数あるいは複素数上の任意の有限次元リー代数に対し、対応する連結リー群が被覆による違いを除いて一意的に存在する(リーの第三定理)。このリー群とリー代数の間の対応によってリー群をリー代数によって研究することができる。
定義
リー代数は、ある体
リー環 (Lie ring)
数学における(狭義の)リー環[注 3](リーかん、英: Lie ring)はリー代数とよく似た構造で、リー代数を一般化した代数的構造と見ることもできるが、群の降中心列の研究においても自然に生じてくる。
リー環と関連する概念としてリー群やリー代数があるが、(環が加法に関して群になるのとは異なり)リー環は加法に関して必ずしもリー群を成さず、他方で任意のリー代数はリー環の例である。任意の結合環は交換子括弧積
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外部リンク
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リー環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 14:00 UTC 版)
詳細は「リー代数」および「リー環」を参照 リー環は非結合的かつ反交換的な乗法を持つ環で、ヤコビ恒等式を満足するものである。より細かく、リー環 L を加法に関してアーベル群で、さらに演算 [ , ] に対して以下を満たすようなものとして定義することができる。 双線型性 [ x + y , z ] = [ x , z ] + [ y , z ] , {\displaystyle [x+y,z]=[x,z]+[y,z],} [ z , x + y ] = [ z , x ] + [ z , y ] , {\displaystyle [z,x+y]=[z,x]+[z,y],} ヤコビ恒等式 [ x , [ y , z ] ] + [ y , [ z , x ] ] + [ z , [ x , y ] ] = 0 {\displaystyle [x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0} 複零性 [ x , x ] = 0 {\displaystyle [x,x]=0} ただし、x, y, z は L の任意の元である。リー環はその加法群がリー群となることは必要としない。任意のリー代数はリー環である。任意の結合環に対して括弧積を [ x , y ] = x y − y x {\displaystyle [x,y]=xy-yx} で定めると、リー環が得られる。逆に任意のリー環に対して、普遍包絡環と呼ばれる結合環が対応する。 リー環は、ラザール対応を通じて有限 p-群の研究に用いられる。p-群の低次の中心因子は有限アーベル p-群となるから、Z/pZ 上の加群である。低次の中心因子の直和には、括弧積をふたつの剰余表現の交換子として定義することによって、リー環の構造があたえられる。このリー環構造は他の加群準同型によって豊穣化されるならば、p-冪写像によって制限リー環とよばれるリー環を対応させることができる。 リー環はさらに、p-進整数環のような整数環上のリー代数を調べることによって、p-進解析群やその自己準同型を定義するのにも利用される。リー型の有限群の定義はシュバレーによって与えられた。すなわち、複素数体上のリー環をその整数点に制限して、さらに p を法とする還元をおこなうことにより有限体上のリー環を得る。
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