リー環の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/27 08:43 UTC 版)
テンソル積をより巧妙な仕方で定義する試みも考えることができて、例えば x ↦ ρ ( x ) := σ ( x ) ⊗ Id W + Id V ⊗ τ ( x ) {\displaystyle x\mapsto \rho (x):=\sigma (x)\otimes {\text{Id}}_{W}+{\text{Id}}_{V}\otimes \tau (x)} と定めれば、テンソル積空間への作用が ρ ( x ) ( v ⊗ w ) = ( σ ( x ) v ) ⊗ w + v ⊗ ( τ ( x ) w ) {\displaystyle \rho (x)(v\otimes w)=(\sigma (x)v)\otimes w+v\otimes (\tau (x)w)} から決まる。これは明らかに x に関して線型で、前節で述べたような問題は生じないのだが、しかしこれでは ρ ( x y ) = σ ( x ) σ ( y ) ⊗ Id W + Id V ⊗ τ ( x ) τ ( y ) {\displaystyle \rho (xy)=\sigma (x)\sigma (y)\otimes {\mbox{Id}}_{W}+{\mbox{Id}}_{V}\otimes \tau (x)\tau (y)} だが一方 ρ ( x ) ρ ( y ) = σ ( x ) σ ( y ) ⊗ Id W + σ ( x ) ⊗ τ ( y ) + σ ( y ) ⊗ τ ( x ) + Id V ⊗ τ ( x ) τ ( y ) {\displaystyle \rho (x)\rho (y)=\sigma (x)\sigma (y)\otimes {\mbox{Id}}_{W}+\sigma (x)\otimes \tau (y)+\sigma (y)\otimes \tau (x)+{\mbox{Id}}_{V}\otimes \tau (x)\tau (y)} となり、これは一般には同じではないから、積を保存するという性質は失われる。しかしこれら二つは、積 xy が反対称であるとき(例えば積がリー括弧積、つまり xy = M(x, y) := [x, y] ならば)恒等的に一致する。こうして結合代数からリー環の概念が生じる。
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