ラジオシティ
【英】radiosity (method)
ラジオシティとは、コンピューターで、主に3Dグラフィックスを作成するときに用いられる、光源や間接光を描画する手法のことである。物体の表面を細かな面に分割し、それぞれの面に対して物体の座標や光源、視点の位置などのに関するデータを集計してそれぞれの面の光反射を厳密に算出するものである。
ラジオシティ法は照明光学において究められた手法が画像処理に応用された方式であり、光の拡散や相互反射のシミュレーションによって反射光のエネルギー量を割り出して間接光の柔らかさをも再現できるが、膨大な計算量が必要となる。
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ラジオシティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/02 17:23 UTC 版)


ラジオシティ (Radiosity) とは、3次元コンピュータグラフィックスのレンダリングにおける、グローバル・イルミネーションの計算法のひとつである。物体に反射した間接光の影響を計算し表現する方法のことである[1]。
概説
一般に多用されているレイトレーシングのように、仮想のカメラから、そこに届く光線を求めていくという方向ではなく、光源の側から、光として発せられたエネルギーの行方を熱力学的に処理することで(エネルギー保存則)、複数の物体が光を乱反射させて、お互いを照らす効果などが計算できる。たとえば壁紙が赤いために部屋にあるものが赤く見えるといった効果がより現実的に再現できる。
この方法を用いると柔らかな陰影が表現でき、特に室内などの風景で画像の写実性が高くなる。現在では、リアルタイム描画以外の3次元グラフィックスではラジオシティを何らかの形で援用することが多い。ラジオシティ法はレイトレーシング法などのモンテカルロ法に基づいた手法と異なり、あらゆる種類の照明現象を再現することはできない。典型的なラジオシティ法は場面が拡散面によってのみ構成されていることを前提としているため、光源から放射された光が何度か拡散面によって反射されたあとで視点にいたるという現象しか再現できない。この現象を一般的な光経路の表記法であるHeckbertの表記法により表すと「LD*E」となる。ラジオシティ法の利点として、一度計算を行っておけば、オブジェクトや照明を変更しない限り、カメラ設定を変更しても再レンダリングを容易に行えるということが挙げられ、近年はリアルタイムレンダラーでも使用例がある。
ラジオシティの基本的な手法は熱移動の研究分野で1950年に初めて提案されたものである。後の1984年にコーネル大学の研究チームがコンピュータグラフィックスによるレンダリングにこれを応用した。そのためラジオシティ法のような大域照明の効果を見せるための有名なサンプルにコーネルボックスがある。また日本のコンピュータグラフィックス研究の第一人者としても知られる西田友是も、独立に全く同時期に先駆的な研究をしていたことでも有名である[2]。
視覚的特徴

ラジオシティ法では、実世界の現象に近い光の挙動を模しているため最終的なレンダリング結果がより現実に近いものとなる。単純な部屋のシーンを想定してみる。
左の画像は直接照明レンダリングによって得られたものである。この場面では3種類の照明現象を分けて扱うことで、より現実に近い結果を得ている。これらの照明現象はデザイナーなどにより調整されなくてはならない。3種類の照明現象とはスポット照明(窓から差し込み柱の影を作る)、環境照明(光が直接当たっていないような暗い場所を再現)、無指向性照明(環境光の一様さを低減するような成分)である。
右の画像はラジオシティ法によりレンダリングされた場面である。この場面で用いた光源は窓の外から差し込む光のみであるが、左の画像との違いが見て取れる。部屋全体が柔らかく光っており、床の影もより現実的で、間接照明による効果がよく再現されている。さらに左奥の壁は床に反射した光によってやや赤色になっており、より穏やかな印象を与えている。これらの現象は全てラジオシティ法の計算結果によるものでありデザイナーなどによる照明効果の調整などは一切行う必要がない。
アルゴリズムの概要
場面を構成する物体の表面は多くの小さな平面に分割されている。角関係 (view factor) は各々の小平面に対して計算されなくてはならない。角関係とは面と面とが互いに見えているかどうかを表す係数である。角関係は互いの面が離れている場合やお互いに傾いて存在している場合には小さな値の係数によってあらわされる。また2つの小平面の間に他の平面が存在する場合には、その平面によって2平面間が完全に遮られているか部分的に遮られているかで、係数を0にしたり小さくしたりする。
これらの角関係は線形のレンダリング方程式における係数として扱われる。この方程式を解くことがラジオシティ法の主な処理であり、これにより小平面間の拡散や相互反射、柔らかな陰影などを扱うことができる。
漸進的なラジオシティ法ではこの方程式を繰り返し計算によって解き、その計算の過程でそれぞれの小平面における放射発散度(ラジオシティ)の中間値を得る。これらの中間値は光子の反射回数と関係がある。つまり1回の繰り返し計算で得られる中間値は光子が光源を出発してから1度だけ反射をした場合の放射発散度を表しており、繰り返しが2回、3回と増えるごとに得られる中間値が表すものが2回、3回反射した光子による効果へと変わっていく。さらにある繰り返し回数で十分なレンダリング結果が得られると判断される場合には計算の収束を待つことなく計算を終了することもできる。

ラジオシティ法におけるレンダリング方程式を解く手法として、この他にシューティングラジオシティという手法がある。この手法は繰り返し計算を行うごとにエラーが最も多い小平面から光子を放つことによりレンダリング方程式を解く方法である。1回の繰り返し計算では光が直接あたるような小平面しか照らされないが2回目以降の繰り返し計算では場面のあらゆる場所から光が反射してくるため、より多くの小平面が照らされることとなる。この繰り返し計算を行うことで、照明状態が一定の安定状態に至る。
数学的な説明

ラジオシティ法の考え方の根底には熱輻射の考え方があり、場面を構成する小平面間での光エネルギーの遷移を計算している。計算を単純にするため、ラジオシティ法では全ての光の拡散がランバート反射に基づくと考える。すなわちある光が拡散面に入射した場合、拡散後の光は全ての方向に均等な明るさで反射されると考える。また小平面は四角形あるいは三角形のポリゴンであるとし、その平面群に対して多項式が定義される。
このようにして場面を小平面群に分解すると、光エネルギーの遷移は反射面の反射性質および2つの小平面間の角関係によって計算することができる。この無次元量は2つの面の向きから計算され、ある平面から放出された光が他の平面にどの程度到達するかを表すことができる。より詳しく言えば、放射発散度Bは小平面上の単位平面から単位時間に放出される光エネルギーを表しており、これは光の放射エネルギーと反射エネルギーによって次のように表現される。
ラジオシティ・ミュージックホール
(ラジオ・シティ から転送)
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概要 | |
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所在地 | ニューヨーク市マンハッタン区 アベニュー・オブ・ジ・アメリカス 1260号 |
座標 | 北緯40度45分35秒 西経73度58分45秒 / 北緯40.75972度 西経73.97917度座標: 北緯40度45分35秒 西経73度58分45秒 / 北緯40.75972度 西経73.97917度 |
所有者 | Tishman Speyer Properties(運営マディソン・スクエア・ガーデン社)[1] |
種類 | 屋内劇場 |
座席の種類 | 指定席 |
座席数 | 5,960 |
Radio City Music Hall
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座標 | 北緯40度45分35秒 西経73度58分45秒 / 北緯40.75972度 西経73.97917度 |
面積 | 2エーカー (0.8 ha) |
建設 | 1932年 |
建築様式 | アール・デコ |
所属 | Rockefeller Center (#87002591) |
NRHP登録番号 | 78001880[2] |
NRHP指定日 | 1978年5月8日 |
開業 | December 27, 1932 |

ラジオシティ・ミュージックホール (Radio City Music Hall) は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区のロックフェラー・センターにあるホール。
建築
マンハッタンの「ロックフェラー・センター」にある5933席収容のホールである。設計者はエドワード・ダレル・ストーン。
劇場内はドナルド・デスキーによりガラス、アルミニウム、クロムなどいくつかの装飾を取り入れている。
利用
1932年12月27日に開場したが、1933年1月には映画館にもなった。そして1933年から続くクリスマスショー、「ラジオシティ・クリスマス・スペクタキュラー」もニューヨーク伝統のクリスマスイベントに成長した。
毎年6月のトニー賞の授賞式もここで行われる。
ミュージックホールはデイタイム・エミー賞や、MTV Video Music Awardsの授賞式が行われていた(過去にはロサンゼルスやマイアミで開催されたが、2006年は当所で開催された)。日本では宝塚歌劇団がここで公演したことがある。毎年4月にはNFLドラフトが開催される[3]。
脚注
- ^ “Rockefeller Center”. Tishman Speyer Properties. 2009年11月21日閲覧。
- ^ National Park Service (9 July 2010). "National Register Information System". National Register of Historic Places. National Park Service. 2020年10月12日閲覧。
- ^ “2010年ドラフト、過去最多の視聴者を獲得”. NFL JAPAN (2010年4月27日). 2010年4月27日閲覧。
外部リンク
ラジオシティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 16:19 UTC 版)
「3次元コンピュータグラフィックス」の記事における「ラジオシティ」の解説
ラジオシティ(英: radiosity)は、各ポリゴンに光のエネルギー量を持たせて形状の相互反射を計算することで、間接光(やわらかい光の回り込み)などを表現する技術。大域照明(グローバルイルミネーション)の代表例である。計算に膨大な時間が必要になるが、完全拡散面で構成されるシーンでは、一旦物体相互間の光の反射を計算し終えれば、物体や光源が移動しない限り、その計算結果を保存して別のアングルからのレンダリングへ再利用することができる。照明工学の分野で発達した技術を3DCGのレンダリングに応用した。
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