ラジオ・カーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ラジオ・カーの意味・解説 

ラジオ‐カー【radio car】


ラジオカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/31 03:05 UTC 版)

ラジオカー(Radio Car)は、ラジオ放送局がリポートの拠点とする移動中継車ともいう。通常の中継用無線機の電波型式はナローFMが多いが、高い音質が要求される中継で使用されるラジオカーはFMカーと呼ばれワイドFMが使用される。 なお中継用無線機を搭載しておらず、放送局のロゴが描かれているだけの社用車をラジオカーと呼んでいる局もある。

概要

報道スポーツ(特に駅伝)や、祭事イベント交通情報等の生活に密着した情報を屋外からリポートするために使用される。AM放送局(在京局)では、NHKラジオTBSラジオなどがまず導入し[1]、遅れて1970年3月にニッポン放送も導入した。

また、中国放送で1975年から放送開始した『なんでもジョッキー』で、『山手一義の飛び込みインタビュー』でアポ無し取材を行い、放送開始当時他局は、同様の放送をしていなかった(詳細は中国放送#ラジオカーを参照)[2]

中継は、リポータータレントアナウンサー)と、無線技師技士ではない。こちらは免許のこと)の2人で行うのが基本だが、資格を持つリポーター、局専属のリポーター(キャスタードライバー・リポートドライバーと称する局もある)1人だけで中継を行うことも多い。中継先にリスナーが多数集まり混乱が見込まれる場合は、現場ディレクターを加えることがある。

新型コロナウイルスが流行した2020年にRKBラジオの『櫻井浩二 インサイト』ではパーソナリティの自宅にRKBのラジオカー(スナッピー)の機材を持ち込んでテレワーク出演を行った(他局ではSkypeなどのアプリでテレワーク出演を行っているが数秒程度の遅延が発生する)[3]

中継用無線機の主なメーカーは日本無線池上通信機・東芝特機電子・日立国際電気であり、使用にあたっては陸上移動局免許を要する。

電波が届かない等の理由で中継が困難な場合は、間にもう1台中継車(これを専門に使うラジオカーは、FMカーと呼ばれている)を加えて2段中継をしたり、自動車電話携帯電話一般加入電話等の電話回線を使用して中継を行ったりすることもある。番組全てを中継で行う場合や、長時間に及びかつ広範囲の移動をしない場合は、ISDNなどの臨時の電話回線を設置して伝送する方法も用いられる。一般の電話機をそのままマイクとして使用すると、歪みやノイズなど不要な音が混ざり放送品質が落ちるため、通称コーデックと呼ばれる専用装置[4]を電話回線に接続し、中継を行うことが多い。この場合、コーデックを使用したもの以外は公衆回線の音声伝送帯域(300Hz - 3.4kHz)がそのままの音質となる。

Skypezoomなどのビデオ通話アプリを使用した中継も行われる場合もある。

FM放送局広域コミュニティとも)では、生中継する必要がない、予算がない、中継用の無線局免許を取得していない[5]か周波数が割り当てられない等の理由から、中継用無線機を所有している局は少なく、それ自体は電話回線のみを導入する形を採ることが多い。

ラジオカーのナンバープレートは希望ナンバー制度導入後、放送局の周波数に合わせた番号を使用していることが多い。

車両

セダンミニバンステーションワゴンSUV等の比較的室内空間が広い車両がよく使われている。車体が大きくなり移動範囲の制限が出始めたことから、コンパクトカークラスを使う局もある(熊本放送など。同局・ミミーの場合トヨタ・ラクティストヨタ・タンクトヨタ・シエンタ日産・ノート)。またかつては東海ラジオなどで、スポーツカー(同局の場合、トヨタ・スープラ日産・フェアレディZ)を使用したものもあった。

車体色に関しては、初期の頃から色使いを変えていないものも存在する[6]

長時間の固定中継用に、マイクロバスに調整室機能を搭載している局もある。

1970年代にはアメリカのラジオ局を真似てヘリコプターを使用していたラジオ局がいくつかあったが、小回りの高さやコストの観点から現在はすべてのラジオ局がラジオカーに移行した。近年まで行われていた例にはラジオ関西の「スカイバード」がある。

中継の手順

通常のワイド番組内で、中継無線が利用できる場所からの生中継を行なう場合で、リポーター1名・技術スタッフ1名の場合の一例をあげる。

  1. 技術スタッフの運転により、リポーターとともに中継先へラジオカーで移動する。
  2. リポーターはインタビュー相手等と打ち合わせを行う。技術スタッフは、中継無線機器等[7]の準備を行い、主調整室との間で伝送試験[8]を行う。
  3. 中継開始。リポーターはリポートを始める。技術スタッフは音声の調整・中継機器の動作監視および現場ディレクター業務を行う。
  4. 中継終了。リポーターはリポート先への挨拶などのフォローをする。技術スタッフは機器の片付けを行う。
  5. 次の現場へ移動、もしくは帰局する。

愛称のあるラジオカー

特に愛称が付けられているラジオカー・中継車[9]

AMラジオ局

FMラジオ局

コミュニティFM局

ラジオカーの画像

関連項目

脚注

  1. ^ 『ラジパラ』三才ブックス、2007、p39など。
  2. ^ 『中国放送の50年 その時、いつもそばにいた』 - 235ページ
  3. ^ “メインパーソナリティが自宅から「テレワーク出演」してみた”. RKBラジオ (radio news). (2020年4月16日). https://news.radiko.jp/article/station/RKB/41204/ 
  4. ^ 携帯電話回線では、テレフォンリポーターやテレホンハイブリッド・テレミックス・モバイルスタジオ(FOMAを利用したNEC製中継装置)等。ISDN回線ではVector(COMREX製)等。
  5. ^ 「取材業務用」での無線局免許を取得し専用無線機を導入することが必要になる。打ち合わせに放送を使うことは許されない
  6. ^ 例えば、MBCラジオのポニー号は、1974年に初めて導入され、愛称が無かった頃から一貫して上が黄色、下が赤のカラーリングである。
  7. ^ 放送中継用FMワイド送信機、アンテナ(八木・宇田アンテナ・ホイップアンテナ等)、マイク及びマイクケーブル、モニター用ラジオ(スタジオの掛け合いやコーナーの入り等確認用 民生品のポケットラジオを使用することが多い)等
  8. ^ 中継先から演奏所若しくは中継無線用中継局へ電波を発射し、電界強度・音質が放送に利用できる状態かを放送局側に確認を求めること。放送局によっては「電波チェック」・「電波試験」とも言う。
  9. ^ 「特集 AM局のラジオカー」『放送技術』第64巻(2011年4月号)、兼六館出版、2011年4月、ISSN 0287-86582012年4月15日閲覧 
  10. ^ a b TBSラジオ・文化放送・ニッポン放送のラジオカーがミニカーに!「昭和のラジオデイズ」新発売! - タカラトミー(共同通信PRワイヤー)
  11. ^ ぼくらの街にやってくる!ラジオカー大図鑑 - ラジオ読本2017(洋泉社)(洋泉社)
  12. ^ エフエムななみTwitter” (2016年3月6日). 2016年3月16日閲覧。

ラジオカー (ラジPAL)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:48 UTC 版)

秋田放送」の記事における「ラジオカー (ラジPAL)」の解説

ラジPAL(ラジパル)とは、秋田放送ラジオ使用する移動中継車(ラジオカー)である。派手なペイントステーションワゴン特徴。『あさ採りワイド秋田便』・『ラジオ快晴GO!GO!のマキ』でも使用されることがあるまた、ラジオ番組取材車輌としても使用されている。

※この「ラジオカー (ラジPAL)」の解説は、「秋田放送」の解説の一部です。
「ラジオカー (ラジPAL)」を含む「秋田放送」の記事については、「秋田放送」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ラジオ・カー」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ラジオカー」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ラジオ・カー」の関連用語

ラジオ・カーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ラジオ・カーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのラジオカー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの秋田放送 (改訂履歴)、中国放送 (改訂履歴)、日本列島ここが真ん中 (改訂履歴)、山崎弘士の満員御礼! (改訂履歴)、めざましRadio 〜おはよう!寿・新鮮組〜 (改訂履歴)、東海ラジオ放送 (改訂履歴)、RSKラジオ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS