ユスティニアヌス帝時代の建設事業とは? わかりやすく解説

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ユスティニアヌス帝時代の建設事業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 19:57 UTC 版)

ビザンティン建築」の記事における「ユスティニアヌス帝時代の建設事業」の解説

553年から始まるユスティニアヌス帝時代は、初期ビザンティン建築胚胎期でありコンスタンティノポリスハギア・ソフィア大聖堂その先駆的建築伝えられているハギイ・セルギオス・ケ・バッコス聖堂、アギオス・ポリエウクトス聖堂といった偉大なキリスト教建築物が建設された。これら首都教会堂は、皇帝による事業という境遇や、その大きさからいって各地安易に模倣されるものではなくプランについても当時としてはかなり大胆なもので、当時ビザンティン建築一般解呼べるものではない。各地では、やはりバシリカ型の教会堂継続して建設され続けていた。しかし、ユスティニアヌス時代建設され教会堂には、以下に挙げるような、のちにビザンティン建築では一般的となる特徴認められる複雑な組積構造のため、独立柱と水平梁が衰退した。 東ローマ帝国ギリシア世界であったが、ギリシア建築由来独立構造的意味を失い6世紀末にまったく消滅し独立副次的な要素でしかなくなったコリント式イオニア式柱頭もインポスト柱頭にとって代わられた。 バシリカとドームを融合するプランが形成された。 ユスティニアヌス時代には首都限られた事象であるが、ドームを頂く集中型教会堂バシリカ教会堂組み合わせた円蓋バシリカ(ドーム・バシリカ)と呼ばれる形式教会堂建設された。ハギア・ソフィア大聖堂もその試み一つで、より小型のものでは皇帝宮殿の側に建設されたハギア・エイレーネー聖堂がある。 ユスティニアヌス時代は、ベリサリウス仕えた歴史家プロコピオス著作から、初期キリスト教建築以外の世俗建築について情報得られている。これによると、ユスティニアヌス建築対す主眼は、あらゆる意味での国家防衛政策にあり、アナスタシウス1世から引き継いだ国境線防壁補強事業注がれているという点が指摘されている。コンスタンティノポリスは、すでにテオドシウスの城壁によって十分に拡張されていたが、ユスティニアヌス国境防衛を図るため、地方都市城壁首都倣って増強した。ユスティアナ・プリマ(現・ツァリチン・グラード)やセルギオポリス(現・ルザファ)、ゼノビア、アインタプ(現・ガズィアンテプ)といった市街には難攻不落城塞建設され意図的に破壊されていないものは、現在でもその姿を目にすることができる。ユスティニアヌスにより、シナイ山燃え記念して建設されハギア・エカテリニ修道院も、帝国異民族の侵入を防ぐための防衛屯所であり、防壁囲まれ武装修道院として設立された。 東ローマ帝国給水設備についてはあまりよく分かっていないが、ユスティニアヌス時代2つの大貯水槽造られたことが知られている。ひとつは今日地下宮殿(イェレバタン・サラユ)と呼ばれる138メートル×65メートルにも及ぶシステルナ・バシリカで、1列12本の列柱28備えたのであるアカンサス柱頭備えた一見豪華なものもあるが、これは5世紀流行した型で、当時石工持っていた在庫品処分したのであるとの見方が有力である。もうひとつは、千一本円柱宮殿(ビンビルディレク)と呼ばれるフィロクセノス貯水槽である。こちらはインポスト柱頭用いた64メートル×56メートル貯槽であるが、構造は2本の円柱上下連結した大胆なもので、天井から床までの高さは15メートルにも達する。このような危険な構造採用したのは、15メートル近い調達するよりもコスト手間が省けるからである。 ユスティニアヌス時代建築ビザンティン建築始まりであるとともに世界帝国ローマの、そしてローマ建築技術的可能性最終局面であるといえる以後ビザンティン建築は、この時代技術革新によってもたらされ要素継承していくが、工学的な面において、これを発展させていくことはなかった。

※この「ユスティニアヌス帝時代の建設事業」の解説は、「ビザンティン建築」の解説の一部です。
「ユスティニアヌス帝時代の建設事業」を含む「ビザンティン建築」の記事については、「ビザンティン建築」の概要を参照ください。

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