メーデー呼び出し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/09 17:16 UTC 版)
「メーデー (遭難信号)」の記事における「メーデー呼び出し」の解説
メーデー呼び出しは、船舶、航空機、車両、または人間が重大で差し迫った危機にあり、即時の救助を必要としていることを意味する。 メーデー呼び出しはどんな周波数でも発信でき、メーデー呼び出しが発信されたらその周波数では救助の支援となる通信以外、いっさいの通信は許されない。実際には、沿岸警備隊や航空交通管制といったメーデー呼び出しに対応する組織が常に監視している周波数帯は限られている。海事中波の2182 kHz、国際VHFのch16(156.8 MHz)、航空用の121.5 MHzと243.0 MHzである。メーデー呼び出しはモールス符号のSOSに対応し、電話での119番(緊急通報用電話番号)に相当する。 沿岸警備隊がメーデー呼び出しを受信すると、救難艇やヘリコプターが現場に向かう。付近を航行中の船舶が救助のために航路を変更することもある。 虚偽のメーデー呼び出しは、多くの国で犯罪とされている。救助隊が捜索救難を開始することで救助員の生命が危険にさらされ、また緊急事態が同時に発生している場合には救助活動を妨害することになるためである。アメリカ合衆国では虚偽のメーデー呼び出しをすると、最高6年間の懲役と最高25万ドルの罰金を科せられる。 メーデー呼び出しをした航空機は管制塔より最優先で誘導されるため、他の航空機は進路を妨害しないように着陸の順序なども変更される。 2011年8月13日にカタール航空(QR)888便が燃料不足によりメーデー呼び出しをして上海虹橋国際空港に緊急着陸を要請した。管制塔はQR888便の前方を飛行していた吉祥航空1112便に着陸を中止し順番を譲るよう指示を送ったが、1112便の操縦士は自機も燃料不足であると主張してこの指示を拒否し、航路を譲らなかった。この事案に対し中国民航華東地区管理局は、緊急着陸を妨害したとして1112便の機長の国内免許を剥奪、吉祥航空に3か月間のペナルティを与えた。 沿岸警備隊に連絡したい場合(燃料切れなど)、VHFのch16で"Coastguard, Coastguard, Coastguard, this is(船舶名)"と呼び出す。船舶などの無線を扱うには免許が必要な国がほとんどだが、緊急の場合は免許のない者でも無線機を使用することが許されている。 推奨される救難呼び出しの形式は、「メーデー」を3回続け、その後に船舶名または識別信号(コールサイン)を3回、その後「メーデー」と船舶名またはコールサインを繰り返す。その後に位置、緊急事態の種類、必要とされる救助、乗船人数といった重要な情報を話す。すなわち、次のようになる。 「メーデー、メーデー、メーデー、こちらはNONSUCH、NONSUCH、NONSUCH。メーデー、NONSUCH。位置は北緯54度25分、西経16度33分。火災が発生し沈没しつつある。すぐに救助されたし。乗船人数は4名。メーデー、NONSUCH。オーバー」 沖合いに離れていてメーデー呼び出しが沿岸警備隊まで届かない船舶の場合、付近の船舶による「メーデー・リレー」が使われることもある(後述)。
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