メトープ (シマノフスキ)
(メトープ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/07/30 04:31 UTC 版)
《メトープ(フランス語: Métopes, ポーランド語: Metopy)》作品29は、カロル・シマノフスキが1915年に完成させたピアノ曲。「メトープ」というフランス語は、建築用語の浮彫石板(メトーピ)のことであり、セリヌンテ神殿の浮彫石板やパレルモに保存された女神像に霊感を受けた楽曲であることを示唆している。《メトープ》は、シマノフスキが第1次世界大戦中に作曲した4つのピアノ曲集のうちの最初の作品にほかならず、《仮面劇》や、ヴァイオリンとピアノのための詩曲《神話》と並んで、シマノフスキが比較的実り豊かだった1910年代を代表する作品に挙げられる。また、これらの3曲は、頭文字がMであることにちなんで、3つまとめて「シマノフスキの3大M」とも称せられる。
1914年、ロシア革命が勃発するまでの間、シマノフスキはウクライナの生地に留まっていた。その後、長期間ヨーロッパの地中海地方やシチリア、北アフリカを訪れ、この時期の創作の着想源とした。印象主義的で複調的な音楽語法、精緻だが繊細な響きのテクスチュアにおいて、同時期のドビュッシーやラヴェルの作曲様式に接近している。
以下の3つの楽章から成る。それぞれがホメロスの『オデュッセイア』に登場する女性像にちなんでいることからも明らかなように、《メトープ》は、ギリシャ神話のエピソードを描いた小さな音詩にほかならない。
全曲を通奏するのに約15分を要する。
各楽章は、オデュッセウスが帰路に出会った女性を描いた標題音楽である。第1曲は妖魔の蠱惑的な歌声を、第2曲は英雄に焦がれて執拗に追いすがる女性の焦燥感を、第3曲は、疲れ切った英雄を癒した楚々とした姫君を、音楽によって暗示している。
外部リンク
メトープ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 09:32 UTC 版)
パルテノン神殿には72枚の高浮かし彫りメトープ(長方型の彫刻小壁)(en)がある。この様式は従来、神に捧げる奉納の品を納める建物にのみ用いられていた。建築記録によると、これらは紀元前446年から440年の間に製作されたとあり、彫刻家のカラミス (Kalamis) がデザインしたと考えられる。パルテノン神殿正門玄関の上に当たる東側のメトープは、オリンポスの神々が巨人と戦ったギガントマキアーを主題としている。同様に、西端のメトープはアテナイ人とアマゾーンの戦い(英語版)、南側はラピテース族がテーセウスの助けを受けて半人半獣のケンタウロスと繰り広げた戦い(en)がモチーフとなっている。北面の主題は「トロイアの落城」である。 メトープの13番から21番は失われてしまったが、1674年にフランスのトルコ大使ノワンテル侯爵に随行した画家のジャック・カレイ(en)が描いた絵があり、アテナイ初期の神話などにあるラピテース族の結婚にまつわる伝説が描かれている。保存状態が悪い北面のメトープには、イーリオスの陥落の故事が彫られたと思われている。 メトープは、身体運動を筋肉でなく輪郭で制限している戦士の表情や、ケンタウロスの伝説(en)像において静脈まで忠実に表現した様を分析した結果から、厳格様式(en)を現在に伝えるものと判断された。神殿に残されたメトープは北側のものを除きどれも酷く痛んでしまった。外されたものはアクロポリス博物館や大英博物館、ルーヴル美術館に保管されている。
※この「メトープ」の解説は、「パルテノン神殿」の解説の一部です。
「メトープ」を含む「パルテノン神殿」の記事については、「パルテノン神殿」の概要を参照ください。
- メトープのページへのリンク