ドーリア式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 11:16 UTC 版)
ドーリア式(ドーリアしき)は、古代ギリシア建築における建築様式(オーダー)のひとつで、柱の上部のキャピタル(柱頭飾)が鏡餅状の物を指す[1]。紀元前11世紀~6世紀、ドリス人がギリシャ北部から侵入し、イオニア人を追い出した後、ギリシャ神殿様式の基本となった柱のオーダーのこと[2]。ドリス式、ドリス様式とも呼ばれる[3]。ドリス(ギリシャ、トスカナ)は男性の体を象徴する[2]。
ギリシア建築の寸法のルールに「モデュール」がある。柱の底の直径を一モデュールとし、その倍数(小さいところは分数)ですべての寸法を決める。簡潔なドリス式(ドーリア式、ドリス様式)の柱の長さは4~6倍である[4]。
概要
三様式のうち最も古い時代の、紀元前6~5世紀に用いられた様式[5]。柱は太くてエンタシスが強く、簡素な四角形の柱頭があるが、柱台はない[5]。柱頭に鉢形装飾や柱基を持たずしばしば「荘重」と表現される[6]。
祖型となった木造建築の様式をよくとどめているとされ、例えば、トリグリフは木造建築の梁の木口がそのまま残ったものである。後の古代ローマや古典主義の建築でも用いられた[3]。
代表的建造物
脚注
ドーリア式
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ドーリア式では、水平ゲイソンの傾斜した下面が一連の突き出た矩形のムトゥルス(矩形のブロック)で装飾され、下のドーリア・フリーズのトライグリフ(垂直の溝)とメトープ(トリグリフの間の矩形部)と並んでいる。それぞれのムトゥルスには3列に並んだ6本のガッタ(雨落とし、装飾的な円錐突起)がその下面から突き出ている。ムトゥルス同士の隙間は、ビア(viae、道)と呼ばれる。この装飾の効果は垂直と水平に繰り返し配置される建築要素のパターンと共にドーリア式エンタブラチュア(アーキトレーブ、フリーズおよびゲイサ)全体と主題的に結びついていることである。鷹の嘴モールディングを突き出た部分の頂部に使うことが通常であり、下縁を切り下げることで雨滴を飛ばす役目をするのと同様である。ゲイソンをフリーズと視覚的に分離するために、通常トライグリフの面に揃えてベッド・モールディング(壁と屋根の継ぎ目の幅の狭いモールディング)が配される。
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