ミームの進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 06:27 UTC 版)
ミームの進化について、ブロディの説明を以下に示す。 遺伝子と同じように、ミームは、ある程度正確な複製をし、またある程度の変異(コピーミス)を起こすので、進化をするのである。この両方がなければ進化は成り立たない。ミームの進化は遺伝子よりずっと速く進行する。 利己的遺伝子から見れば、私達が遺伝子の乗り物であるように、ミームの視点から見れば、心や文化は利己的ミームの自己複製のための乗り物である。ただし、これはミームが実際に視点を持っているという意味ではない。なぜわざわざミームの視点で考察するのかといえば、それが分かりやすいからである。例えばテレビという文化は、テレビに関するミームの自己複製に役立つから存在するのである。 ミロのヴィーナスのように、人気のある芸術は、適応度の高いミームを持っている。ミームの進化は、どのミームが多くの心へ複製され、どのミームが消えていくかという過程によって進んでいく。よってミームの進化は、より多くの心へコピーされ、拡散されるミームが有利である。 それでは何がミームの拡散を助けるのか、という疑問を解くには、ミーム進化のほんの初期の段階について考えてみる必要がある。人類に言語が生まれるより以前、脳は遺伝子進化の力により、DNAを複製させるという目的で進化してきた。つまり脳の進化は、人が生き残り、DNAに共通部分の多い相手と結婚して子孫を増やすことができる方向へと進んでいった。このため脳は、動物が持つ、本能から来る基本的な四つの衝動によって動くように進化した。四つの衝動とは、闘うこと、逃げること、食べること、結婚相手を見つけることである。 意識を持つように人類が進化する以前に、人類は言語を使えるようになった。言葉を使ってコミュニケーションを発達させるようになると、コミュニケーションにより危険を避けたり食べ物を見つけたり、また結婚相手を見つけることができ、生存と子孫を残す可能性を上げることができた。したがってコミュニケーションは、危険、食べ物、生殖といった特定の情報をやりとりするように進化してきたのである。 現在でも、私たちは危険、食べ物、生殖を含んだミームに注意を払う傾向が強い。したがって、危険、食べ物、生殖を含んだミームは、他のミームより速く広まるのである。
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