マニ割り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 05:49 UTC 版)
「エキゾーストマニホールド」の記事における「マニ割り」の解説
日本のアートトラックやバニングにおいては、集合管であるエキゾーストマニホールドを意図的に二分割する事で、排気音を大幅に変化させる改造が行われる事が多く、これをマニ割 (り)と呼ぶ。 ディーゼルエンジンを搭載する日本車のトラックは、大型自動車の場合はV型8気筒以上の多気筒エンジンを搭載する事が多く、マフラーを交換する事でアメリカ車におけるクロスプレーンクランクシャフトのV8に特有の排気音(バブリーサウンド)に近づける事が比較的容易に行えるが、中型自動車以下の車格のトラックでは直列6気筒や直列4気筒の採用がほとんどの為、これらの排気音をV8に出来るだけ近づける目的でデコトラチューナーの間でマニ割りが編み出されたものとされる。 具体的には直4の場合には、4-1のエキゾーストマニホールドの1気筒分を切断加工して3-1とし、残る1気筒に独立したマフラーを装着してデュアルマフラーとする事が多く、直6の場合には6-1のエキゾーストマニホールドの1気筒分を切断加工して5-1と1気筒のデュアルマフラーとする事が多い。分割されたエキゾーストマニホールドの多気筒側はエンジンブレーキの際に笛が鳴る様な排気音(俗に「鳴き」と呼ばれる)を発し、単気筒側は加速の際に太鼓を叩く様な排気音(俗に「叩き」と呼ばれる)を発する為、双方のマフラーはそれぞれ「鳴き」や「叩き」を強調するよう設計されたものが装着される。チューナーによっては直4では2-1+2-1、直6では4-1+2-1といったかたちにマニ割りが行われる場合もある。マニ割りは理論上はガソリンエンジンでも行えるが、ディーゼルエンジンと比較して常用回転数が高い為、ディーゼルエンジン程極端な排気音の変化は起こしにくい。 しかし、マニ割りは排気効率や本来のエンジン性能に即したエキゾーストマニホールド形状を無視した改造となる為、多くの場合独特の排気音の獲得と引き換えにエンジン性能が低下し、最高速度の低下や燃費の悪化などのドライバビリティの低下や、排気騒音の増大により車検に不通過となったり、公道走行中に交通警察に保安基準違反として検挙されるリスクが発生する。特に平成17年排出ガス規制以降の車両は、DPFや尿素SCRシステムなどの排ガス対策機器が取り付けられている為、マニ割りを行った上で排ガス検査を通過する事は難しい。 なお、アメリカ合衆国におけるピックアップトラックのローライダーやホットロッド等でも、日本のマニ割りに類似した分割型エキゾーストマニホールドを用いてデュアルマフラーとする改造が行われる事がある。但し、純正エキゾーストマニホールドを直接改造する日本のデコトラとは異なり、米国のアフターマーケット市場では、古くから改造部品としてスプリット・ヘッダーと呼ばれる分割型エキゾーストマニホールドが販売されており、多くはこれらを用いる事で改造が行われる。スプリット・ヘッダーは1960年代以前の直6や直4を搭載したシボレーやクライスラーの車種(シボレー・アドバンス・デザイン(英語版)など)で用いられ、6-1または4-1のエキゾーストマニホールドを半分に分割したものを装着する事が多い。純正エキゾーストマニホールドでスプリット・ヘッダーを製作する場合には、4-1または6-1の中間部分にもう一つ排気口を設ける加工を行う。米国でのスプリット・ヘッダーの発祥は古く、1953年に登場したシボレー・コルベットの初代モデル(英語版)で用いられた、235立方インチ「ブルー・フレイム」(英語版)エンジンが、市販車では初の事例であるとされている。これより後年のV8やV型6気筒搭載車両では左右のシリンダーバンク(英語版)の排気を集合させる、HパイプまたはXパイプと呼ばれる部品を取り外し、左右シリンダーバンクの排気を独立してデュアルマフラーで排気する改造が行われる事がある。しかし、HパイプやXパイプは排気音の静粛化や排気脈動を利用した排気効率の向上(エンジン性能の向上)に大きく寄与するものであり、これの取り外しは排気音の増大以外の効能が得られず、エンジン性能自体は低下してしまう為、米国の車両チューニングでは余り推奨されない方法とされる。
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