マダガスカル文化における位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/23 02:16 UTC 版)
「ランバ (まとい布)」の記事における「マダガスカル文化における位置づけ」の解説
布の色、柄、素材にもさまざまな種類がある。絹で織られた「ランバメナ」 "lambamena" は、亡くなった家族を先祖代々の墓に入れる際、遺体をくるむのに使う。また、婚約のときに男女でランバを交換することを伝統としているエスニックグループもある。また、外交儀礼上の贈り物として用いられることもある。スミソニアンの国立アフリカ美術館に展示されている一対の「ランバ・アクトゥファハナ」"lamba akotofahana" は、1886年にマダガスカル女王ラナヴァルナ3世からアメリカ合衆国大統領グロヴァー・クリーヴランドに贈られたものである。片方は色とりどりに細かく装飾されており、もう一つは白地に白の模様が編みこまれている ランバ・アクトゥファハナは、アンヂアナと呼ばれるメリナ人の貴族制と密接に結びついた服飾である。いくつもの綜絖を用いて色とりどりの複雑な幾何学文様を織りあげていくという機織り技術は、マダガスカルにおいてはメリナ人だけが持っていた。ランバ・アクトゥファハナは、アンヂアナの威信を顕著に可視化した。しかしながら、フランス植民地時代においては、このような身分の可視化は抑制された。王国時代同様、込み入った模様を織りあげる文化は維持されたが、民族的出自や階級的出自をあまり明瞭に示さない、白地に白のデザインとなった。 2010年現在では、伝統的で色鮮やかなランバ・アクトゥファハナへの興味と需要が、島外で成功した裕福なマダガスカル出身者や、観光客、テキスタイル愛好者らの間で増してきており、その結果、生産が回復し、アンタナナリヴの高級ギャラリーでの販売もされるようになった。同時代の作家からも、なかば忘れられかけていた昔の技術を復活させることへの関心が集まり、国際的に名の知れた美術館で特別展が開催されるほどユニークな作品が生み出されるようになった。例えば、アメリカ自然史博物館では、織り糸のすべてに、鳥やコウモリでさえも捕まえてしまうほど強靭なクモの巣を張ることで知られるネフィラ・イナウラタというクモの糸を用いたランバ・アクトゥファハナが展示された。1998年には、メトロポリタン美術館においても、あらゆる色を使って、植民地となる以前の貴族の装いを再現した現代のアーティストによるランバ・アクトゥファハナが展示された。
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