マギー証言の評価をめぐる論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 20:18 UTC 版)
「ジョン・マギー」の記事における「マギー証言の評価をめぐる論争」の解説
南京攻略戦時に福知山連隊(歩兵第20連隊)大隊長を務め南京とその周辺の警備に当たっていた森王琢は「検事側の証人としてマギーは二日間にわたって詳細に証言したが、ブルックという弁護士が反対質問で問いつめると二日にわたって証言したことは全部ウソで結局窃盗と婦女暴行が各一件だけあることが判明し、法廷で笑い物になった」と述べている。 田中正明はマギーが直接目撃したのが不審者の殺害、強姦、窃盗の3件だけで、あとはすべて伝聞、噂話、憶測によると言っている。 渡部昇一によればマギーの目撃した殺害事件とは、南京市内を警備していた日本兵が、中国人に何者か質問をすると逃走したので射殺したというもので、「はたして、これのどこが虐殺だろうか」という。また渡部は「松井石根被告の弁護人ブルックス氏は、大虐殺神話のもととなった同国人のマギー牧師を反対訊問で問いつめ、実際に日本兵により殺害されたシナ人はたった一人しか実際に見たことがないと白状させたのである。元来が国際政治裁判だった東京裁判で、松井被告は死刑になったけれども、ブルックス弁護人の反対訊問のおかげでわれわれは大虐殺神話の実態をうかがうことが今日でもできるのだ」という。また渡部は「この大虐殺のあらゆる噂や文献の起こりが、たった一つのところに収斂していることが証明された。それは一人のアメリカ人牧師マギーのデマであり、さらに、そのデマを遡って調査してみても、事実らしいものはどこにも見つからなかった。要するに、日本人は一人の無責任な外人のデマによって、何十万人ものシナ人を集団虐殺したという烙印を押されてしまったわけである」と主張している。 藤岡信勝もマギー証言はほとんど伝聞に基づいたものとする。 これに対して、以下の反論がある。 洞富雄は「“唯僅か一人の事件だけは自分で目撃致しました”と、正直に陳述しているだけのことである」「もし、マギー師が偽証しようと思えば、5件でも10件でも目撃したと言えたはず」と反論。 立花隆は渡部昇一が他の証拠を考慮せずに、マギー証言が南京大虐殺の唯一の証拠であったかのように思わせる議論は、「渡部氏のいつものイカサマ論法」と批判した。 藤原彰は「安全区で、もっぱら怪我人や強姦の被害者の救護活動をしていたマギーが殺害現場に立ち会わなかったのは当然で、マギー証言の意義は夥しい数の被害者と接していたことにこそあるのだ。(中略)それらを無視して、殺害現場を見たのは一人だけだという部分のみが、何回も持ち出されるのである」と述べている。 渡辺春己は「否定派はマギー証言の断片だけを切り取り、殺害、強姦の瞬間を目撃しなければ、死体があっても、被害女性がいても、「伝聞」であり、事実として認定できないという暴論を平然と主張する」と反論している。
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