証言の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 15:26 UTC 版)
1940年代初め、エイブ・レルズが司法取引によりマフィアに関わる組織的な殺人行為を暴露したが、マフィアの外様団体マーダー・インクの組織についての暴露に限られ、マフィア本体組織はノータッチだった。1950年代のキーフォーバー組織犯罪捜査委員会では、マフィアメンバー個々の脱税の告発はしたが、メンバー間の横のつながりは「近所の仲間」「ビジネス仲間」という「仲間」で括られ、組織が存在するかどうかも不明だった。ヴァラキの証言は、血の掟(オメルタ:Omertà)により隠されてきた組織の実在を、ニューヨーク五大ファミリーのそれぞれ具体的な人名入りのファミリー構成表で明らかにした点で画期的だった。マフィア史家ジェリー・カペチは2004年に、「ヴァラキの証言内容は当時衝撃だったが、今もその衝撃度は変わっていない」とした。 現在進行形のマフィアのみならず、マフィアが辿ってきた過去についても、謎とされてきた個々の抗争の背景や原因を解説したり、未解決事件の首謀者や実行犯を数多く挙げた。1930年代前半のカステランマレーゼ戦争の直接当事者としての証言は元より、1957年のアルバート・アナスタシア暗殺やフランク・コステロ暗殺未遂事件などにも言及した。 犯罪史料としては、1920年代にさかのぼる内部証言者の告白は極めて珍しく、ジョゼフ・ボナンノの自伝(1983年)やニコラ・ジェンタイルの回想録(1963年)と並んで、アメリカにおける犯罪シンジケート形成期の貴重な情報源とされている。
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