ポメラニアにおける条約の履行
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「シュテッティン条約 (1630年)」の記事における「ポメラニアにおける条約の履行」の解説
ポメラニア公ボギスラフ14世(英語版)は同盟を締結した直後、神聖ローマ皇帝フェルディナント2世に手紙を書き、下記のように述べた。 「この連合は皇帝陛下や帝国に対してではなく、帝国の古くからの自由と泰平を維持するためである。また、公衆の安寧を妨げ、破壊する者から宗教と世俗の和解を守るためでもある。従って、私達、ボギスラフ14世[...]と神聖ローマ皇帝陛下の間の関係が維持されるだけでなく、法律に基づく義務も守られる。」 ボギスラフ14世は「帝国の兵士の野蛮さと残虐さ」によりもはや選択肢が残されていないとした。しかし、フェルディナント2世がボギスラフ14世を許さなかったため、ポメラニアを占領した帝国軍はさらに苛酷に振舞うよう命じられた。その結果、襲撃は頻繁に行われ、建物や集落が燃やされ、住民は苦しめられた。帝国の悪政はポメラニア人がスウェーデンを支持する理由の1つとなった。もう1つの理由としては、ポメラニアと違ってスウェーデンには農奴制がなかったため、スウェーデン兵士は武装した平民であり、ポメラニア平民の好感を得ていた。 上記の条約により、スウェーデンはポメラニア公国を徴兵の割当制度に組み入れ、ポメラニアにおけるスウェーデン軍の人数を短期間で3倍にすることに成功した。1630年、カール・グスタフソン・バネール(スウェーデン語版)がスウェーデン駐シュテッティン大使に任命され、翌1631年にはステン・スヴァンテッソン・ビェルケ(英語版)が後任になった。ビェルケは1630年時点ではスウェーデンのシュトラールズントにおける指揮官だった。 スウェーデン軍はオーデル川の河口にあった橋頭堡から進軍をはじめ、1631年に帝国軍を完全にポメラニア公国から追い出した。シュテッティンの南にあったポメラニア領のガルツ(英語版)とグライフェンハーゲン(英語版)はそれぞれ1631年1月4日と5日に攻撃された。両町はそれぞれ1630年6月4日と7日から帝国軍が守備に就いていた。ガルツとグライフェンハーゲンを占領したことで、スウェーデン軍はさらに南下してブランデンブルク選帝侯領に侵攻したり、西進して西ポメラニア(英語版)やメクレンブルク=シュヴェリーンに攻め入ることができるようになった。ポメラニアにおける帝国軍の最後の砦はグライフスヴァルトであり、1631年6月12日以降スウェーデンに包囲されていた。帝国軍の指揮官フランチェスコ・フレデリーコ・ペルシ(Francesco Ludovico Perusi)が乗馬中に撃たれると、帝国軍は6月16日に降伏した。グスタフ2世もブランデンブルクから戻って包囲戦を視察しようとしたが、到着したときには祝賀を受けた。 ポメラニアの平民は徴集されて軍事建築に駆り出されてもスウェーデンへの支持を続けた。一方で町のほうではブルジョワが駐留軍との紛争をおこした。グスタフ2世はいくつかの命令(Artikelbriefe)を下して兵士とブルジョワの交流を制限したが、1632年時点ではすでに「規律のない兵士に対する騒動」を止められなかった。より大きな町はスウェーデン軍の要求を拒否することも多いという。 スウェーデンのポメラニアにおける主な要塞「主な要塞」(ドイツ語: Hauptfestung)「小さな要塞」(ドイツ語: Kleine Festung)主なスコンス(英語版)(ドイツ語: Schanze)位置1630年秋時点の兵士数位置1630年秋時点の兵士数位置1630年秋時点の兵士数シュテッティン 4,230 アンクラム 400 ブランツハーゲン(英語版) 不明 シュトラールズント 3,130 ダム(英語版) 280 ダムガルテン(英語版) 不明 デミーン(英語版) 830 ペーネミュンデ(英語版) 不明 グライフスヴァルト (1631年6月に占領) ノイアー・フェール(Neue Fähr、リューゲン島) 不明 コルベルク 1,000 トリープゼース(英語版) 不明 ヴォルガスト 990 ヴィーク(Wieck、現グライフスヴァルトの一部) 1,050 ヴォリン(英語版) 不明 出典:Langer (2003), pp. 397–398.スコンスにいた人数は上下した。Langer (2003), p. 397.
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