ボックスマガジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 06:39 UTC 版)
もっとも一般的な弾倉で、箱型のケースの中に弾薬が一列、あるいは互い違いに並べられ、普通は弾薬は底部に固定されたバネの先についた送り板(フォロアー)で押し上げられており、開口部には勝手に飛び出さないように留め金が付けられているか、開口部側面が曲げ加工されている(この「曲げ」をマガジンリップと言う)。装弾数が30発程度以上と多いものでは、弾薬がテーパーがかかった先細りの形状であるため湾曲してバナナ型になることが多い。いくつかの種類の弾倉は、クリップ(挿弾子)で簡単に装填することができる。 一般的には銃の機関部の下側に取り付けられるが、第二次世界大戦までは弾倉バネの負荷を軽減するため、また地面に伏せて射撃する際の邪魔にならないよう上部や側面に差し込む方式も存在する。 構造の単純さゆえに安価で信頼性が高いという利点があるが、装弾数を増やし過ぎると、弾薬の重量を駆動するバネもより強力なものが必要になり、弾倉への負荷(特にマガジンリップ)や、給弾不良のリスクや装弾時の労力が増す。また弾倉が長すぎるようになり、銃から大きく突出して保持射撃の障害となるため、大容量化には限度がある。 戦場では撃ち尽くしたら放棄する消耗品として扱われるため、廉価な薄鋼板プレス製のものが多い。冷戦中からは合成樹脂製のものも採用されるようになり、近年では半透明で残弾数を判りやすくしたものも存在する。 シングルカラム 初期からある基本的な形態は内部に弾薬が一列に並ぶもので「単列式」または「シングルカラム式」という。 装弾数が弾倉の長さに直接比例するため、自動拳銃では多くても7発ないし10発しか装填できないものが多く、後述するダブルカラムが登場した。 しかし、弾倉を銃把(グリップ)に収める拳銃やサブマシンガンではダブルカラムにするとグリップも太くなり、銃の取扱に影響する。日本の陸上自衛隊が新型拳銃を導入する際、ダブルカラム式拳銃の銃把は日本人の手には大きすぎるという理由から、装弾数を犠牲にしてシングルカラム式のSIG SAUER P220が採用されている。しかし、SAT(特殊急襲部隊)やSIT(特殊捜査班)、SST(海上保安庁特殊警備隊)、SBU(海上自衛隊特別警備隊)などはダブルカラム式の拳銃も採用している。なお、近年は日本人の体格も昔に比べ、一段と良くなっているため、ダブルカラム式の自動式拳銃を問題無く握れる人は男女問わず多い。 また、シングルカラム式でもデザートイーグルやオートマグIIIのように、マグナム弾やカービン弾など、全長の長い特殊な弾薬を使用するために握りにくい製品もあれば、ダブルカラム式でもCz75やブローニングHPなど人間工学を利用したり、射手のことを考慮して手の小さな人でも握りやすくした製品もあり、両者の優劣を一概には判断できない。 ダブルカラム 弾倉の幅を拡げ、互い違いに装填していくことで装填数を増やす工夫がなされたもので、「複列式」または「ダブルカラム式」という。 ダブルカラム式の弾倉には、開口部が一列に絞り込まれて弾薬を一発ずつ抜き出す「シングル・フィード」方式と、絞り込まれないまま二列の弾薬を交互に抜き出す「ダブル・フィード」方式がある。前者は強度において勝り破損の危険性も少なく、弾薬が必ず同じ位置から給弾されるため銃本体の設計もシンプルになるが、手動での装填が比較的難しく、弾倉内で二列の弾薬が一列に絞り込まれる際に目詰まりが起こって給弾不良を起こす危険性がある。一方後者は手動での装填が比較的容易で、目詰まりの危険性も低いが、弾薬が左右から給弾されるため銃本体の設計がやや複雑になり、マガジンの開口部が大きく開いてしまうため内蔵ばねの劣化によって弾薬が飛び出したり抜け落ちたり、破損変形して給弾不良を起こす危険性がある。拳銃ではシングル・フィードが、自動小銃はダブル・フィードが多く採用されている。 さらに、スオミ KP/-31短機関銃やスペクトラ M4(英語版)短機関銃のように、4列が並んだ「複々列式」も存在し、ドラムマガジンに近いレベルの大容量化が可能だが、重すぎて取り回しが悪くなる問題も生じあまり普及していない。
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