ブランド化と葛藤
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玉城町ではふるさと納税の返礼品に玉城豚を加えており、ふるさと納税を扱った書籍などで多く取り上げられている。玉城町の返礼品の玉城豚は、厚切りのとんてきが入った「玉城豚とんてきセット」、4つの部位を食べ比べできる「玉城豚四品食べくらべ焼肉セット」や玉城カレーの詰め合わせ、ウインナー・ソーセージ詰め合わせなど複数あり、1万円以上のふるさと納税で5千円相当の玉城豚商品を受け取ることができる。返礼品に玉城豚を加えたことに加え、町長名義のお礼状を発送したこと、県内の他の市町に先駆けてインターネット経由のクレジットカード決済ができるようにしたことなどの要因で、ふるさと納税の制度開始から5年間の累計件数は県内最多となった。 玉城町では2016年(平成28年)度の予算に玉城豚のブランド化や松阪牛の素牛購入補助などを盛り込み、農産物の増産に力を入れることにした。玉城町によるブランド化の事業名は「玉城産豚の高付加価値化による地域ブランド力の向上プロジェクト」と称し、玉城町に隣接する伊勢市の皇學館大学が大学COC事業(地(知)の拠点整備事業)の一環として参与している。三重県も2017年(平成29年)度の予算に玉城豚をはじめとする三重県産食材のブランド力強化や安全を担保する各種認証の取得支援などのために5900万円を計上し、首都圏や日本国外への広報と販路拡大を推進している。 玉城町によるブランド化政策の取り組みとして「熟成肉」がある。2017年(平成29年)2月3日には近鉄宇治山田駅前にある皇學館大学まちなか研究室で、専用冷蔵庫で90日熟成した玉城豚の熟成肉と普通の玉城豚を通行人が食べ比べ、どちらが熟成肉か当ててもらう実験が行われた。87人が実験に参加したが、熟成肉を当てられたのはほぼ半数にとどまり、担当教員は「焼き方や塩加減で好みが分かれてしまったのだろう」と分析した。 行政による玉城豚のブランド力強化と増産・販路拡大推進の取り組みに対し、養豚農家は「サミットで使われたというだけでは首都圏での競争に勝ち残れない」と考えており、確実な販路が開けない限り、増産は難しいと表明している。それよりも肉質の均質化を進めたいので、肉質向上のための飼料米の購入支援や備蓄庫の整備費補助を望んでいると中日新聞の取材に答えている。また東京で玉城豚を食べてもらうより、東京から玉城町へ来て玉城豚を食べてほしいと考えていることから、養豚農家だけが儲かる政策ではなく地域活性化につながる政策を求めている。玉城豚の販売元であるアグリも「丁寧に作って町内で売ることにこだわりたい」と2013年(平成25年)に語っている。
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