フレーム相関を利用した3次元クシ形フィルタ(3D Y/C分離)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 15:40 UTC 版)
「NTSC」の記事における「フレーム相関を利用した3次元クシ形フィルタ(3D Y/C分離)」の解説
走査線1本ごとに色副搬送波の開始位相が半サイクルずつずれていくのは上述した通りだが1フレーム中の走査線数は奇数(525本)である為、画面中の任意の一点上における色副搬送波の位相はフレーム毎にも反転していることになる。したがって、正確に1フレーム分( 1001 30 {\displaystyle {\tfrac {1001}{30}}} ミリ秒)だけ映像信号を遅延できる回路を作成すればフレーム相関性を利用したY/C分離が可能になる。 「過去」の画面との比較を行うこのフィルターは2次元平面のフレーム画像を時間方向の次元で演算処理する事から、3次元クシ形フィルタと呼ばれる。 利点 ライン相関性を利用した物よりも、さらに精緻なY/C分離を行える。細かい模様上および斜め線の周囲の偽色や色の境界付近の色にじみやドット妨害が発生しない、理論上望みうる最高の画質を提供できる。 欠点 以上の利点は、フレーム相関性の極めて高い「まったく動いていない画像」の場合にのみ実現できる。そもそもテレビジョンは動いている画像を伝送表示するためのシステムであり現実の3次元クシ形フィルタではフレーム間の相関性を検出し、相関性が低い場合はライン相関によるY/C分離に切り換える(ライン相関も無い場合は、さらに周波数分離にフォールバックする)「動き適応回路」が必須になる。フレーム間の画像を単純に加減算すると時間方向の解像度が低下し以前の画面の映像が薄く残る残像現象が発生するので、この点からも動き適応回路の搭載は不可欠である。 なお、画面全体の映像信号を正確に1フレーム分遅延し得る回路の実現には、非常に複雑で大規模な画像処理装置が必要となり高速な半導体メモリとその大容量化・廉価化を待たねばならず民生家電製品に搭載できる所までコストが下がったのは20世紀も終盤になってからである。
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