ピアノ
元来の名は、以前から存在した鍵盤楽器であるハープシコードと比べて、強弱を自由にできることから付けられた“ピアノフォルテ”である。なお、発明された当時は“フォルテピアノ”とも呼ばれたが、現在“フォルテピアノ”という言葉は、現代のピアノと区別して、1820年頃までのピアノを指すために用いられることが多い。ハープシコードが弦を引っかいて音を出すのに対して、ピアノは弦をハンマーで叩いて音を出す。鍵盤とハンマーの間には複雑な仕掛け(アクション)が介在する。ピアノの音は、出された瞬間から減衰を始め、鍵盤から指が離れてダンパーが下がり、弦の振動を押さえたときに鳴り止む。また、ピアノにはペダルがあり、右側にあるダンパー・ペダルを踏むとすべての弦のダンパーがいっせいに弦から離れ、鍵盤から指を離しても音が持続するほか、すべての弦も共鳴を起こして音の響きが豊かになる。左側の弱音ペダルを踏むと音量が落ちるが、グランドとアップライトではその機能がまったく異なる。今日のピアノにつながる最初の楽器が作られたのは1709年で、イタリアのハープシコード製作者クリストフォリによるものだった。現存最古のピアノは、彼が1720年に製作したものである。いずれのピアノも、現在のピアノとは比較にならない程の内容しかもっていなかったが、その後、ウィーンとイギリスを中心にアクション機構、弦の材料、共鳴板やフレームなど改良が進められた。その結果、音域、音量ともに拡大の一途をたどることとなる。ベートーベンの作品が、特に音域の点でピアノの発展の過程を反映していることは有名である。ピアノのために作曲された最初の作品とされているのは、ジュスティーニが1732年に出版した「ピアノとフォルテ付きチェンバロのためのソナタ集」である。もちろん楽譜のあちこちには、ピアノとフォルテの記号が付けられている。ピアノの楽器としての発展と相まって、ピアノ音楽も徐々にその勢力を拡大していった。出版される楽譜の中でのピアノ作品(およびピアノ協奏曲)の割合は高まっていき、19世紀前半には作曲家がデビューする際に、作品1をピアノ・ソナタで飾ることが流行した。ピアノは音域が広い上に和声楽器、旋律楽器の両方の要素を兼備しており、独奏楽器としてはもちろん、伴奏、合奏のいずれにも高い能力を示している。さらに、現代ではピアノの打楽器的要素を強調した楽曲も作曲されている。
ピアノ(強弱記号) [piano]
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