バリバリノキとは? わかりやすく解説

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ばりばり‐の‐き【ばりばりの木】

読み方:ばりばりのき

[副]クスノキ科常緑高木暖地にみられ、山地自生細長く、先が尾状にとがり、革質雌雄異株で、8月ごろ淡黄緑色雄花雌花とをつけ、実は冬を越してから黒く熟す。あおかごのき


バリバリノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/31 00:31 UTC 版)

バリバリノキ
1. 枝葉(4月)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : モクレン類 magnoliids
: クスノキ目 Laurales
: クスノキ科 Lauraceae
: バリバリノキ属[2] Actinodaphne
: バリバリノキ A. acuminata
学名
Actinodaphne acuminata (Blume) Meisn. (1864)[3][4]
シノニム
和名
バリバリノキ、アオカゴノキ、ナントウクロモジ[5]、アオガシ(青樫)[2][9]
英名
Baribarinoki tree

バリバリノキ学名: Actinodaphne acuminata)は、クスノキ科バリバリノキ属に分類される常緑高木の1である。和名は、枝葉が音を立てて燃えることや、葉がこすれ合う音に由来するとされる。ハマビワ属に分類されていたこともある(その際の学名は Litsea acuminata[10]アオカゴノキ(青鹿子の木)ともよばれる。は枝先に集まって互生し、革質で細長く、葉脈は裏面に隆起する。雌雄異株、日本での花期は夏、小さなが集まって総苞片に囲まれたものが葉腋につく。果実液果、日本では翌年に黒紫色に熟す。本州房総半島以西から南西諸島台湾に分布する。建材や家具材、器具材に利用されることがある。

名称

和名であるバリバリノキの由来は、はっきりしないが、一説には枝や葉に油分が多く、燃やすとバリバリ音を立てて良く燃えることから名付けられたとされる[10][11][12]。また植物学者の牧野富太郎は、「硬質の葉がふれあう時の音に基づくのであろう」としている[2]。別名のアオカゴノキ[2][9][12][13]は、牧野富太郎による命名である[3]。ナントウクロモジ[5]ともよばれる。アオガシ(青樫)とよばれることもあるが[2][9][13]、この名は、同じクスノキ科の別種であるホソバタブの標準的な和名とされる[14]

中国植物名は、長葉黃肉楠や長葉木薑子[3]、南投黄肉楠[15]

特徴

常緑広葉樹高木であり、生長が速く、樹高は5–15メートル、胸高直径50センチメートル (cm) ほどになる[11][2][12][13]。樹形は楕円形になる[12]。樹皮は灰褐色で平滑、皮目が散生する[2][12](図2)。一年枝は緑色で無毛、二年枝は褐色、葉痕は楕円形でやや凸出[12][13]冬芽は大きく、長楕円形、芽鱗は瓦重ね状背軸面に圧短毛が密生して灰白色[12][13]。花芽は葉腋につき、小さな球形、有柄[12]

2. 樹皮は灰褐色で平滑

互生、枝先に集まってついており、輪生しているようにも見える[9][12][13]。葉は基本的に垂れているが、日光が真上から当たる場合にはほぼ水平に展開している[2][9]葉柄は長さ 1–3 cm[12]葉身は細長い被針形から倒披針形、長さ 8–25 cm、幅 1–2 cm、基部は鋭形、先端は長くとがり、葉縁全縁でやや波打っている[9][11][2][12][13]。葉は薄い革質、表面は光沢がある緑色で無毛、裏面は粉白色を帯び、細かい伏毛がわずかにある[2][10][12]葉脈は羽状、側脈は10–15対、裏面に隆起する[9][12][13]

雌雄異株雄花雌花が別の木につく)であり、日本での花期は夏(8月ごろ)とされるが[11][2][12][13]、台湾では2–3月[16]。淡黄色の小さな花が集まり数個の総苞片で包まれた小球状の散形花序が葉腋から生じた枝(長さ3–6ミリメートル)の先に1–3個つく[10][11][12][13]。総苞片は瓦重ね状、卵形、密に圧毛がある[12][13]花托は、雄花では皿状、雌花では筒状、有毛[12][13]花被片は6枚、花後に脱落する[12][13]。雄花序は4–5個の雄花からなる[12]雄花雄蕊(雄しべ)は9個、3個ずつ3輪、長さは約 3.5 mm で長く突出、最内輪の花糸に1対の腺体がある[2][12][13]。雌花序は3–8個の雌花からなる[12]雌花には仮雄蕊(仮雄しべ)が9個、3個ずつ3輪、最内輪の仮雄しべに1対の腺体がある[12][13]雌蕊(雌しべ)は1個、長さ約 3.5 mm、子房は球形、柱頭は盾状に広がり裂ける[2][10][12][13]

果実液果、日本では翌年の6月ごろに黒紫色に熟し、長楕円形、長さ約 1.5 cm、無毛、花托が皿状になって基部を包む[10][11][12][13]。種子は1個[12][13]

分布・生態

本州房総半島以西)、四国九州南西諸島台湾に分布する[4][11][17][18]岡山県には分布していない[9]。暖地の常緑広葉樹林域に生え、陰樹、斜面中部などの適潤地に生育し、伐採跡などに多く見られ、二次林の構成種的な性格をもつともされる[18][9][13]。日本の常緑広葉樹林域であるヤブツバキクラスに生育し、その標微種の1つとされる[18]

病害として、Plectosphaera actinodaphnes子嚢菌門フンタマカビ綱)によるバリバリノキ斑紋病が知られている[19]

人間との関わり

は堅いが、割れやすい[17]。建材や家具材、器具材に用いられる[11][10]

分類

バリバリノキは、ハマビワ属に分類されることもある(Litsea acuminata[12][13]

脚注

出典

  1. ^ de Kok, R. (2021年). “Litsea acuminata”. The IUCN Red List of Threatened Species 2021. IUCN. 2025年5月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 邑田仁・米倉浩司 編『APG原色牧野植物大図鑑I 〔ソテツ科~バラ科〕』北隆館、2012年4月25日、51頁。ISBN 978-4-8326-0973-0 
  3. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinodaphne acuminata (Blume) Meisn.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月17日閲覧。
  4. ^ a b Actinodaphne acuminata”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2025年5月23日閲覧。
  5. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Litsea acuminata (Blume) Sa.Kurata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月17日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fiwa longifolia (Blume) Nakai”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月17日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinodaphne nantoensis (Hayata) Hayata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月17日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinodaphne longifolia (Blume) Nakai”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月17日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i バリバリノキ Litsea acuminata (クスノキ科 ハマビワ属)”. 岡山理科大学. 2025年5月10日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g バリバリノキ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%8E%E3%82%ADコトバンクより2025年5月10日閲覧 
  11. ^ a b c d e f g h 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、203頁。 ISBN 4-522-21557-6 
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 太田和夫 (2000). “バリバリノキ”. 樹に咲く花 離弁花1. 山と渓谷社. pp. 446–447. ISBN 4-635-07003-4 
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 北村四郎・村田源 (1979). “バリバリノキ”. 原色日本植物図鑑 木本編 2. 保育社. p. 186. ISBN 978-4-586-30050-1 
  14. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Machilus japonica Siebold et Zucc. ex Blume”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年5月10日閲覧。
  15. ^ Flora of China Editorial Committee. “Actinodaphne acuminata”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2025年5月10日閲覧。
  16. ^ Flora of China Editorial Committee. “Actinodaphne acuminata”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2025年5月10日閲覧。
  17. ^ a b 堀田満ほか 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年8月25日、45頁。 ISBN 4-582-11505-5 
  18. ^ a b c 宮脇昭ほか 編『日本植生便覧 改訂新版』至文堂、1994年10月10日、581頁。 ISBN 9784784301478 
  19. ^ バリバリノキ斑紋病”. 農業生物資源ジーンバンク. 2025年5月11日閲覧。

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