ハブ空港の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:00 UTC 版)
拠点空港(広義のハブ空港)の概要は上に示した通りであるが、本来の意味で正確にハブ空港と呼ぶには、これらに加えて、「航空網の中継を役割とする空港であり、航空ダイヤの接続が機能していなければならない」という条件が付く。 ある短時間に各地からの到着便が集中し、空港ターミナルビル内で素早く旅客を乗り継ぎさせて間もなく、再び短時間で各地への出発便が飛び立って行く。このようなダイヤを組むことにより、旅客は各々の目的地へ短い乗り継ぎ時間で行くことができる。この仕組みは、ハブ・アンド・スポーク・システムとしてアメリカ合衆国で編み出された。最初にハブ・アンド・スポークの構築を行ったのは、貨物輸送のフェデックスである。このシステムをデルタ航空が旅客輸送に利用したのが、今日のハブ空港とそのシステムの誕生の嚆矢である。その成功を受けて、1978年の規制緩和を機に、アメリカ国内の他の大手航空会社に広がっていったのである。このようにハブ空港では、短時間に大量の航空機の発着と旅客の搭乗手続きを扱わなければならないため、それ相応のキャパシティを求められる。具体的には、以下に示したような条件が求められる。 複数の滑走路(短時間に集中する離着陸をこなすために必要) 特定の航空会社専用の空港ターミナルビル(短時間で旅客が自社便への乗り継ぎを行うのに必要) 安い着陸料(大量の航空便を採算に合わせるのに必要) 以上の意味のハブ空港としては、日本航空や全日空が成田空港をハブとしているとは言い難い。デルタ航空は過去に北米から成田経由でアジアへ飛ぶ便が数多くあり、2008年2月現在のダイヤで見ると、13:55にホノルルから到着するNW9便を皮切りに15:55にデトロイトからNW11便、16:05にポートランドからNW5便と、19:30のサイパン発NW75便まで約15便が到着するというスケジュールであった。一方、17:25発の釜山行きNW29便を皮切りに広州、香港、北京、上海、マニラなどアジア各都市へ約2時間から3時間後に出発していくため、北米 - アジア間の接続が確立していた。これがハブ空港の本来の姿である。なお、デルタ航空は羽田空港発着枠拡大や他国のアジアのハブ空港の増強に伴い、2020年3月28日を最後に成田空港から撤退している。 また、これらの乗り継ぎは同一航空会社によって行われなければならない点、および特定の航空会社がその空港を拠点として利用している点も、厳密なハブ空港の要素の一つである。例えば、ロサンゼルス国際空港は発着便数も多く、空港の規模も大きい。さらに乗り継ぎの利便性も高い。しかし、主要な運航の拠点としている航空会社が存在しないため、ロサンゼルス国際空港は、拠点空港ではあっても、厳密にはハブ空港ではない。
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