ネイティブ・アメリカン・チャーチのペヨーテ儀式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 15:08 UTC 版)
「ペヨーテ」の記事における「ネイティブ・アメリカン・チャーチのペヨーテ儀式」の解説
ネイティブ・アメリカン・チャーチは、ペヨーテを霊の薬と呼び、様々な疾病やアルコール依存症、他の社会的病理と戦うために使用する。儀式(ペヨーテ・ミーティング)はたいてい、「ペヨーテ・ティピー」の中で夜間から明け方にかけ行われ、呪い師がペヨーテを切り分けて、水を挿みながらこれを食べ、またはお茶にして飲むことで進められる。味は不味く、喉につかえるので、吐きたくなれば吐いてもよく、そのための缶も用意される。リチャード・アードスは、「キリスト教で、聖餐を受けるようなもの」と喩えている。キリスト教との習合色も強く、聖書の一節が読み上げられることもある。 チャーチは水鳥を象徴とし、参加者は赤と青の二色に分かれたショールを身にまとう。このチャーチはのペヨーテ儀式には平原式と南部式とあり、平原式では、炭火を見守る儀式の進行役は「ロード・チーフ」と呼ばれ、シダーの粉を火にくべて香を焚きこむ「シダー・チーフ」、入口で参加者を案内する係と、太鼓をたたく者の四人で儀式は行われる。 儀式では煙草が浄化に使われ、亀の甲羅や瓢箪のラトル(ガラガラ)やペヨーテ・ファン(水を祝福する羽根扇)が振られるなか、ウォータードラムが鳴らされる。これに合わせて「ペヨーテの歌」が歌われるが、これは永らく男だけに許されてきた。レオナルド・クロウドッグの妻のマリー・クロウドッグは、女で初めて「ペヨーテの歌」を歌ったのは自分であると語っているが、異説もある。儀式はペヨーテの歌を歌いながら朝まで続けられる。朝食には最初に水が出され、この水は必ず夜明けとともに汲んだものでなくてはならず、これを汲んでくるのは女性の役割である。そのあと、ペミカン、チョークチェリー、コーヒーなどが出されるが、この朝食の前に、「ロード・チーフ」によって次のような説明が行われる。 「ペヨーテは祭壇に祀られた小さな長老だ。白人は月へ行ったが、インディアンは霊的には白人より前にすでに月に行ったことがあり、聖なるハーブとペヨーテのおかげで無事に帰ってくることが出来た」 食事が終わると、最初に水を飲んだ者が「おはようございます」と挨拶をし、儀式は終わる。 南部式のネイティブ・アメリカン・チャーチは「半月の道(half moon way)」と呼ばれ、トウモロコシの皮の煙草が吸われ、清めにはブル・ダーラムの煙草が火にくべられる。進行役は「チーフ・ペヨーテ」と呼ばれ、土を盛った半月型の祭壇がティーピーの中に作られ、この祭壇の上半分は白い砂、下半分は赤土になっており、細い「ペヨーテの通り道」が祭壇上まで切られている。ペヨーテは平原式と異なり、芽を潰さずにそのまま食べる。 レオナルド・クロウドッグは部族の伝統儀式を現在も取り仕切る伝統派呪い師であるが、上述したようにペヨーテの儀式も新しい儀式として採り入れており、「大いなる精霊であるペヨーテこそ、私の師であり教育者であり法だ」と語っている。20世紀スー族の伝統派呪い師レイムディアーは、「自分の身体を犠牲にするほかの儀式に比べ、インスタントな儀式だ」と述べている。
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