ナショナル・ガーデン・スキーム
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「ガーデン・ツーリズム」の記事における「ナショナル・ガーデン・スキーム」の解説
ガーデンツアーをイギリスに根づかせた団体は19世紀後半創設の地域看護を進める協会で、リバプールの篤志家が雇った看護師を地域の老人介護に派遣したことから始まった。やがてナイチンゲールとビクトリア女王の後援を得て活動を発展させると、看護協会として全国で看護師を養成、地域の老人介護や妊産婦の看護のために派遣しつづけ、その活動を支えたアレクサンドラ王妃の功績を記念しさらに活動を盛んにする資金を集めるため、1920年代後半に理事のエルシー・ワグ (Elsie Wagg) が当時の園芸ブームに注目、ガーデンツアーと募金活動を両立させる「ナショナル・ガーデン・スキーム」を考え出したのである。 看護協会の呼びかけた「手入れの行き届いた魅力的で個性のある庭を見学者に紹介し、なおかつ公共の利益に役立てる」という事業に賛同すると、庭の持ち主は自慢の園芸の成果を公開、ひとりにつき1シリングの見学料を集めて団体に寄付したのである。ガーデンツアーが動き出したのは1927年、その年は609カ所の庭園が賛同して8000英国ポンドを集め、翌年の1928年に「王妃の地域看護協会」The Queen's Institute of District Nursing (英語版)と改称、1931年には最初のイエローブックが出たこともあり、協力する庭の数は1000を超えた。やがて助成金の交付団体として創設以来、21世紀初頭にわたる募金をもとに累計4500万英国ポンドを支給するまでに基金が充実していく。それと並行して、個人の庭の持ち主はそれぞれが希望する寄付先に400万英国ポンドを支払ってきたのである。 第二次世界大戦後の1948年以降、ガーデンツアーは新しい段階へと発展。協会の募金活動はナショナルトラスト運動と連携、見学地にトラストが保全を進めた貴重な庭園を加えたことから見学者が大幅に増える。トラストは活動に対して協会から補助金を受け、歴史的に貴重な庭園の修復をさらに進めていく。庭園や庭が見学者の期待にこたえるかどうかをめぐっては地域の調整役から認定を受ける体系を設けて、庭の持ち主が公認を名乗る水準を保ってきた (『イエローガイドを片手にイギリスとスコットランドのすばらしい庭園めぐりを――ナショナル・ガーデン・スキームおよびスコットランドのガーデン・スキームの募金事業に協力する個人の庭』より)。2013年に公開した庭園や個人の庭は合計3700カ所を超え、「イエローブック」の名称は2015年に「Gardens To Visit」に変更している。
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