テレビ番組による再ブーム
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「妻に捧げた1778話」の記事における「テレビ番組による再ブーム」の解説
初版から10年以上後の2017年(平成29年)年11月、テレビ番組『アメトーーク!』(テレビ朝日)の企画「本屋で読書芸人」で、お笑い芸人のカズレーザーが「夫婦の絆の美しさが全部詰まってる。めちゃくちゃ泣けます。とてつもなく泣けます」、最終回について「15年ぶりに泣いた」「最終回の1778話だけでも泣ける」と、本書を大絶賛して、「本当に読んでほしい」と力説した。共演者の光浦靖子も、その場で最終回を読んだだけで「うわーもうダメ、泣ける、すぐ泣ける」と目に涙を浮かべていたことで、注目を集めた。宮迫博之も「あれは読まなあかん」と語った。 これに対して視聴者からは、Twitter上で「まんまと読みたくなってしまった」「読んでみたい」「泣かせてもらいたい」とは大きな反響を呼んだ。その一方では、「近所の小さい本屋では置いてなかった」「読みた過ぎて都内の本屋ハシゴしまくったけど何処にも売ってなかった」との声もあり、書店では品薄状態となっていることが明らかになった。テレビ放送直後から、ネット書店での売上が急増し、一時は古書の価格も大幅に上昇した。music.jpによる週間電子書籍ランキングでは、同2017年11月22日付で初登場、第4位を記録した。 この大反響に、版元の新潮社もすぐに対応した。急遽、10万部超が増刷され、その後も放送後から2月余りで、20万部が増刷された。出版関係者からは、テレビで紹介されても、2か月以上も売行きが持続することへ滅多にない」との声があり、非常に珍しいケースとされた。 2018年(平成30年)元旦には、各新聞紙上で様々な工夫を施されて広告が掲載された。同2018年1月のhontoの発表による、書籍や電子書籍の販売データをもとに集計した「honto月間ランキング」では、2017年12月の「小説・文学」のジャンルで3位に記録され、同2018年4月までに累計発行部数は18刷、25万4000部に達した。以来、新聞紙上で「回を重ねるごとに増えた私小説風のものと、本来の作風のSFのようなファンタジーを掛け合わせた小説」「人と人が信じ合い、共に生きていく美しさを教えてくれる」などと報じられた。新潮社では、本書のテーマが、配偶者を失った喪失感や「大切な人のためになにができるか」という、身近で普遍的なものであることが、人気の持続に繋がったものと分析された。眉村自身は、自身と妻とのやり取りの間に、皆が同意できるような普遍性が込められていたため、と見ていた。 一方で評論家の阿部嘉昭はこの再ブームに対して、眉村の妻は彼の高校の同期生であり、結婚後は夫の作家としての自立を認め、作家業の補佐を続けたことから、眉村の最初の読者であり、その最初の読者である妻を徐々に失ってゆく「作家の生理」こそがこの本の特徴であり、単なる涙活としての本ではないと主張している。
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