チャム族の生活誌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/18 09:38 UTC 版)
「カンボジアのイスラム教」の記事における「チャム族の生活誌」の解説
チャム族には独自のモスクがあり、1962年には国内に約100ものモスクがあった。カンボジアのムスリムは19世紀末、ムプティ、トゥク・カリフ、ラヤ・カリク、トヴァン・パケという、4人の宗教的権威の下で共同体を形成した。 チャム族の村にある名士の寄り合いは、長老1人と数人のkatip、bilal、labiから構成。4人の高位聖職者と長老には免税特権があり、宮廷での主要国家的行事にも招かれている。カンボジアが独立を果たすと、イスラム共同体は公的に共同体を代表する5名の議会の統制下に置かれ、他のムスリム系共同体と連携を保った。なお、どのムスリム系住民の地域にも、地域やモスクを指導する長老や礼拝を先導するイマーム、そして信徒に日々の礼拝を呼びかけるbilalが存在。 プノンペン付近のチュルイ・チョンワー半島はチャム族の信仰の中心地とされ、数名のムスリム系高官が同地に居住している。チャム族の中には毎年、マレーシアのクランタン州でコーランを学びに行ったり、メッカに遊学や巡礼を行う者もいる。1950年代末の統計によると、チャム族の約7%が巡礼を完了し、その証としてフェズやターバンを身に付けていたという。 一方、伝統的なチャム族は多くの古代ムスリムか、ムスリム以前の伝統や儀式を固守。アッラーを全知全能の神としているものの、他の非イスラム的慣行も認めている。多くの点において、他のムスリムよりもベトナム沿岸部のチャム族に近い。 伝統的なチャム族(とベトナムの同族)の高僧は純白の服を身に纏い、頭や顔を剃髪。伝統的なチャム族は魔術信仰を持ち、病苦や死の苦痛を避けるために魔術の実践に重きを置いている。またさまざまな超能力を信じている。伝統的なチャム族はメッカへの巡礼や日に5回行う礼拝にはあまり興味を示さないものの、多くのイスラム教の祭や儀式を祝う。 正統派チャム族(チャム・ジュバ)は、14世紀から15世紀にかけてカンボジアに移住してきたジャワ人やマレー人との混血のため、マレー系住民と近しい関係にある。実際、マレー系の習慣や家族形態を取り入れ、マレー語を話す者も多い。メッカへの巡礼を行い、イスラム教の国際会議にも出席する。 伝統派と正統派によるチャム族同士の紛争が、1954年から1975年にかけて増加。例えば両者が村を二分、各集団がのちにはそれぞれ独自のモスクを有し、宗教組織を分離させるに至った。 なおチャム系ムスリムは、メコン川やトンレサップ湖で漁業に従事している関係上、河中にモスクを建てたり、浮船のスラウを中心に水上生活を営む。
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