ダンプカーとの衝突事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 14:21 UTC 版)
「名鉄7000系電車」の記事における「ダンプカーとの衝突事故」の解説
このように好評をもって迎えられた7000系パノラマカーであったが、踏切事故に対する開発関係者の懸念は残っていた。考えられる対策はすべて採り、名鉄では「10トンのダンプカーが80キロのスピードでぶつかっても大丈夫」としたものの、本来はこうした機能は使われない方が望ましいものであった。 運行開始から半年ほど経過した1961年11月29日、名古屋本線の木曽川堤駅付近を特急新岐阜行きとして85km/hで走っていたパノラマカーの前に、砂利を満載した大型ダンプカーが踏切警報を無視して入り込んできた。運転士はすぐに非常ブレーキを操作したが衝突し、ダンプカーは40mも引きずられ、パノラマカーは286mも走った木曽川橋梁の中央部付近で停止した。 しかし、負傷者は乗客8名が軽傷を負っただけで、しかもそれはダンプカーが側面にぶつかった際に側面ガラスが割れ、その破片が当たったものであった。展望席のガラスはひびが入った程度で、運転士及び展望席に座っていた乗客は無傷だった。その後の調査と分析で、車体は完全に原形をとどめており、衝突事故防止の対策はすべて設計どおりに機能していることが明らかになった。 この事故は「ダンプカーキラー」「ダンプキラー」と報道され、パノラマカーの安全性は立証された。 しかし、名鉄の社内では新たな懸念が発生した。当時の名鉄には、車体の一部が木造の半鋼製車どころか、木造車体の車両も残っていた。そのような車両がパノラマカーと衝突したらひとたまりもない。「万が一AL車とでも衝突したらと思うとぞっとした」といい、その後自動列車停止装置 (ATS) が整備されるまでは、列車同士の事故が起きた際に、7000系が絡んでいないと分かると安堵したという。 なお、事故のあった7003編成は、その後しばらくは事故で損傷したモ7004・モ7053の代わりに5500系を連結して運用された。7000系と5500系の性能は同じであり、その後も非常時には同じ方策が採られるようになった。 また、モ7004には事故復旧時に試験的にニキシー管式の速度計を客室内に設置したが、この速度表示が好評だったことから、その後の増備車では速度計を装備することになった。
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