スヴェルドラップバランスとは? わかりやすく解説

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スヴェルドラップバランス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 03:32 UTC 版)

風成循環」の記事における「スヴェルドラップバランス」の解説

海洋内部数十メートル以深で、上記エクマン層下部)では、風応力直接作用せずコリオリ力圧力傾度力がほぼバランスしている(地衡流)。このバランスエクマン流収束発散によって生じた鉛直流が与えられたときの力学バランスがスヴェルドラップバランスである。1947年ハラルド・スヴェルドラップにより提唱された。渦位保存則応用である。 海洋運動は、地球流体力学運動方程式に従う。鉛直方向温度塩分変化、および海底地形効果無視できるとき、水平方向数千キロメートル広がりで、変動時間スケール数日程度より長い運動は、微小な項を無視して、 ∂ u ∂ t − f v = − 1 ρ ∂ p ∂ x ∂ v ∂ t + f u = − 1 ρ ∂ p ∂ y 0 = − 1 ρ ∂ p ∂ z − g ∂ u ∂ x + ∂ v ∂ y + ∂ w ∂ z = 0 {\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {\partial u}{\partial t}}-fv&=&-{\frac {1}{\rho }}{\frac {\partial p}{\partial x}}\\{\frac {\partial v}{\partial t}}+fu&=&-{\frac {1}{\rho }}{\frac {\partial p}{\partial y}}\\0&=&-{\frac {1}{\rho }}{\frac {\partial p}{\partial z}}-g\\{\frac {\partial u}{\partial x}}+{\frac {\partial v}{\partial y}}+{\frac {\partial w}{\partial z}}&=&0\end{matrix}}} で、記述されるxyz は、それぞれ東向き北向き鉛直上向きにとる。u は東向き速度、v は北向き速度、w は鉛直上向き速度、p は圧力、ρ は密度、g は重力加速度である。f はコリオリ力強さ表し経度には依存せず緯度には f = f 0 + β y {\displaystyle f=f_{0}+\beta y} (ただし f0, β は定数)と線形依存する(β 平面近似)。 時間変化しない定常状態では、以上から β v = f ∂ w ∂ z {\displaystyle \beta v=f{\frac {\partial w}{\partial z}}} が求められる。これがスヴェルドラップバランスである。 海洋表層近くでは、上記エクマン流によって弱い鉛直流 w が発生する。この効果大まかに見積もるち、緯度 30 度で β は約 10-11 m-1s-1、 f は約 10-4s-1 だから、厚さ 1,000 m の海洋考えると v の w に対する比は 104 となる。つまり、0.1 mms-1 の非常に弱い鉛直流が 1 ms-1 の南北流を効率よく引き起こす。 スヴェルドラップバランスのもうひとつ効果は、風による鉛直流の発生が無いところでは海流東西にしか流れないということである。すなわち、南に向かって流れた海流風の影響が弱くなった領域東西流に変わる。どちらに流れかどうかは、定常状態ではなく時間変化問題考察する必要がある。すなわち、無風の状態から風吹き始めたとき海洋はどう応答するかという問題である。 地衡流が十分成り立ちコリオリ力緯度変化が十分影響する規模南北広がりのある状況では、海洋応答ロスビー波支配される。この波は(コリオリ力影響を十分受ける)波長長いものはすべて西に進むため、スヴェルドラップバランスしていないものは、領域西部集中することになる。すなわち、領域西部かたよって流れ存在することになる。この流れ西岸境界流である。各大循環流量保存する仮定すると、西岸境界流はそれと反対向き流れ内部領域流れ補償しあう関係になる。ちなみに北太平洋亜熱帯循環西岸境界流黒潮亜寒帯循環西岸境界流親潮である。

※この「スヴェルドラップバランス」の解説は、「風成循環」の解説の一部です。
「スヴェルドラップバランス」を含む「風成循環」の記事については、「風成循環」の概要を参照ください。

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