スッポンタケ
別表記:鼈茸
スッポンタケ(鼈茸)はスッポンタケ科のキノコの和名。学名はPhallus impudicus、英語名はstinkhorn。悪臭を放ち、勃起した男性器にそっくりな異様な外見を呈することで知られる。学名に含まれる phallus は男根の意であり、impudicus は「無恥」。英語名stinkhornは「悪臭を放つ角」という意味の字面である。
スッポンタケは樹林や竹林の地上に発生する。いびつな卵のような形をした幼菌から柄が伸びて傘をつける。傘はおおっぴらに展開せず、男根の亀頭に似る。さらに幼菌の形や位置や大きさや睾丸に似る場合がある。
同じスッポンタケ科のキノコである「タコスッポンタケ」は、複数本の赤黒い触手が膜を突き破って伸びてくるような、SFホラー映画さながらのグロテスクな見た目で成長することで知られている。しかも悪臭を放つ。このような生態はハエに胞子を運ばせるために役立っているとされる。
同じスッポンタケ科のキノコとしては「キヌガサタケ」も含まれる。キヌガサタケは成長すると「菌網」と呼ばれる網状・レース状の構造を形成する。この菌網は中国料理などにおいて高級食材として利用されてきた。スッポンタケはキヌガサタケのような菌網は形成しないが、食用は可能である。
すっぽん‐たけ【×鼈×茸】
鼈茸
読み方:スッポンタケ(suppontake)
担子菌類のきのこ
スッポンタケ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 21:44 UTC 版)
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スッポンタケ | |||||||||||||||||||||||||||
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スッポンタケ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Phallus impudicus Linnaeus, (1753) | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
スッポンタケ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Common stinkhorn |
スッポンタケ(鼈茸[1]、学名: Phallus impudicus)とは、スッポンタケ科スッポンタケ属のキノコ(菌類)。英語名はstinkhorn。悪臭がするが食用が可能で、中華料理にも使用される。和名の由来は、頭部の形状が、スッポンの頭に似ていることによる[1]。
特徴

腐生菌(腐生性)[1]。初夏(梅雨)から秋にかけて、竹林など林内の地上に発生する[1][2]。形はツクシ(スギナの胞子茎)に似ている。学名もこれにちなむ。和名は傘の形がスッポンの頭部に似ることから。英語名 stinkhorn はstink(くさいにおい)+ horn(つの)でこのキノコ類の柄の形に由来する。
キノコ本体はごく柔らかい。幼菌は卵のような形状で、内部には半透明のゼラチン状の物質につつまれた柄と暗緑色の傘がある[1]。この時点では悪臭はしない。しかし、成熟すると柄と傘が展開し、傘の表面に悪臭のする黒っぽい粘液質のものが一面に現れ、悪臭を放つようになる[1]。これはグレバで形成された胞子を含むもので、その悪臭は、ハエなどの昆虫を誘引し、胞子を運ばせるためである[1][2]。傘の黒っぽい粘液を虫がなめ回してしまい、すっかり白っぽくなってしまうこともある[1]。キノコ本体は一日でとろけるように消滅する。
色については幼菌も含め白だが、傘はグレバの色で暗緑色に見える。
なお、高級食材として有名なキヌガサタケはこれにレース状の飾りが付いただけ、と言っていいものである。
調理
グレバを取り除いた柄の部分や、幼菌は食用である。油で揚げると魚のような味になる。ドイツのいくつかの地域やフランスで食用とされ、中華料理にも利用される。
その他
その形が勃起した陰茎に非常に似ていることで古くから注目された。学名Phallus impudicusは、phallus(男根)、im-(否定接頭辞)+pudicus「恥じらう」で「恥知らずな男根」という意味である。根もとにはふくらんだツボがあり、これは陰嚢に似ているとも言える。イギリスのビクトリア時代など性に関する規範が厳格だった時期には、このキノコの図は、それを見る人にショックをあたえないように、上下さかさまに描かれることがよくあった。南方熊楠が描いたスッポンタケの絵が残されているが、実際にはない血管状のすじや毛が描きくわえられており、わざと男性器に似せて描いたように見える。
脚注
参考文献
- 大作晃一『きのこの呼び名事典』世界文化社、2015年9月10日。ISBN 978-4-418-15413-5。
- 吹春俊光『おいしいきのこ 毒きのこ』大作晃一(写真)、主婦の友社、2010年9月30日。 ISBN 978-4-07-273560-2。
関連項目
「スッポンタケ」の例文・使い方・用例・文例
- ホコリタケやスッポンタケなどの菌類内部にある、胞子をつくる多肉質組織
- スッポンタケから成り、成熟した子実層がぬるぬるしていて悪臭を放つ関連した形態の菌類の目
- スッポンタケ目に属す菌類の科で、真正のスッポンタケから成る
- スッポンタケ目の、嫌な匂いのする茶色の傘の様々な菌類
- スッポンタケの悪臭は、彼らの足で胞子を持ち去る昆虫を引きつける
- このスッポンタケは、傘の頂部の表面がざらざらで、腐食した肉のような匂いがする
- 密接にスッポンタケ属に関連しており、菌傘の下からスカートのように垂れ下がっている包膜によって見分ける
- スッポンタケ科に属する菌類
- かさのない軸があるスッポンタケ
- スッポンタケのような多肉質の菌類の科
- サンコタケ属のスッポンタケ
- スッポンタケという植物
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