ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬とは? わかりやすく解説

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ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬(DHFR阻害薬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:35 UTC 版)

抗がん剤」の記事における「ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬(DHFR阻害薬)」の解説

これは抗菌薬として抗腫瘍薬としても免疫抑制薬としても用いられることがあるである。メソトレキセート (MTX)、トリメトプリムピリメタミンという3つのが重要である。トリメトプリムバクタやバクトラミンといったST合剤含まれている抗菌薬である。尿中そのままの形で排出されることから尿路感染症治療使いやすい。ピリメタシンは抗寄生虫薬として使われることが多く、何といってトキソプラズマ症効果的な唯一の治療薬である。スルファジアジンとの併用シナジーを得るので非常に良い治療ができるのだが、日本ではスルファジアジン適応外である。ピリメタシン自体でもマラリアに対して有効であるが、近年耐性問題となっている。さて、ここで気がつくのだが、トリメトプリム、ピリメタシンは抗腫瘍薬としては全く用いられない。DHFR阻害薬テトラヒドロ葉酸細胞内供給決定的に不足させ、結果的にプリンチミジン新たな合成停止させることによってDNA合成RNA合成阻害するDNA合成停止するため細胞S期停止させられる。この理屈ではバクタ投与ではもっと激し副作用出てもよさそうである。しかしそれが出ない。サンフォードガイドでは尿路感染症 (UTI) の第一選択ST合剤となっているほど安全な薬物である。実は細菌原虫ヒトではDHFRのアイソフォーム異なるため選択毒性働いているのであるメソトレキセートアイソフォームに関係なく阻害するがん細胞の方が分裂回数が多いから選択毒性になるとかつては考えられたが、S期止まるだけなら大した効果上がらないはずである。現在ではメソトレキセート投与腫瘍細胞アポトーシス導き、正常細胞アポトーシス導かないということ選択毒性となっていると考えられている。すなわち、p53Bcl-2のようなアポトーシス制御蛋白変異があるとメソトレキセート耐性となってしまうのである。もちろん、分裂回数ある程度の関係はしていて消化管粘膜骨髄抑制出現するHD-MTX療法フォリン酸(=ホリナート救援療法によって普及した機序不明な点が多いが、メソトレキセート投与数時間後にフォリン酸ロイコボリン)を投与することで正常細胞救援することができる。HD-MTXの投与量フォリン酸救援療法(ロイコボリンレスキュー療法)を行わければ致死的であるので注意が必要である。メソトレキセートシタラビンと同様血液脳関門 (BBB) を透過性のある数少ない薬物一つである。中枢神経DLBCLにおいては非常に頼りになる血液疾患の他には乳癌肺癌頭頸部癌絨毛癌にも適応がある。葉酸胎児細胞適切な分化神経管閉鎖のために重要であるため、DHFR阻害剤胎児への投与禁忌である。近年メソトレキセート単剤、もしくはプロスタグランジン類似物質ミソプロストールとの併用妊娠中絶として臨床試験が行われている。

※この「ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬(DHFR阻害薬)」の解説は、「抗がん剤」の解説の一部です。
「ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬(DHFR阻害薬)」を含む「抗がん剤」の記事については、「抗がん剤」の概要を参照ください。

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