シロオビアゲハとは? わかりやすく解説

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白帯揚羽

読み方:シロオビアゲハ(shiroobiageha)

アゲハチョウ科チョウ

学名 Papilio polytes


シロオビアゲハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 00:46 UTC 版)

シロオビアゲハ
シロオビアゲハのオス
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: アゲハチョウ科 Papilionidae
亜科 : アゲハチョウ亜科 Papilioninae
: アゲハチョウ族 Papilionini
: アゲハチョウ属 Papilio
: シロオビアゲハ P. polytes
学名
Papilio polytes Linnaeus1758
和名
シロオビアゲハ
英名
en:Common Mormon

シロオビアゲハ(白帯揚羽、学名Papilio polytes)は、アゲハチョウ科に分類されるチョウの1種。

成虫は前翅長50mm前後、開張約7 - 8cmほど。他のアゲハチョウ類に比べると小型である。和名は後翅にい斑点が列を成していて、翅を縦断する白い模様を形成することに由来する。

インドから東南アジア熱帯域に広く分布し、日本ではトカラ列島中之島以南の南西諸島に分布する。沖縄地方では普通に見られ、八重山諸島では通年、奄美群島でも2月中旬 - 11月下旬に見られる。年に5 - 6回発生する多化性である。ハイビスカスなどの赤い花によく訪花し、荒地や林、海岸などでも飛ぶ姿が見られる。

幼虫シークヮーサー(ヒラミレモン)やサルカケミカン、ハマセンダンなどのミカン科各種を食草とし、しばしば害虫として扱われる。幼虫はミカン科各種を食草にする他のアゲハチョウ属と同じく、1 - 4令までが鳥ののような色で、5令になると緑色になる。危険を感じると赤色の臭角を出す。

ベニモン型について

シロオビアゲハのベニモン型のメス

シロオビアゲハの雌は遺伝的に2型がある。雄と同じく後翅に白い帯がある「通常型」(白帯型、I型、f. cyrusとも)、そしてもう1つが、後翅に白い帯に加えて赤色の斑点がある「ベニモン型」(赤紋型、II型、f. polytesとも)である。

同じ南方系の蝶であるベニモンアゲハは、幼虫時代にウマノスズクサ科の植物を食草にして育ち、成虫になっても体の中にウマノスズクサの毒素が残留している。このためベニモンアゲハを捕食者(主に鳥類)が捕食すると中毒を起こし、胃の中のものを殆ど吐き出してしまい、以後はベニモンアゲハを捕食しようとしなくなる。

シロオビアゲハは本来無毒の生物だが、ベニモンアゲハに体色を似せることで、敵から身を守っていると考えられる(ベイツ型擬態[6]

参考文献

  • 「特集・アゲハチョウの擬態と進化」『昆虫と自然』第40巻第7号、ニューサイエンス社、2005年6月、ISSN 0023-3218 CRID : 1520010380354044032
    • 井上 A. 尚「シロオビアゲハ類の種間雑種と擬態の変遷」14-17頁。CRID : 1523106605495907840
  • 湊和雄『昆虫の本 : 沖縄の自然を楽しむ』アクアコーラル企画、宜野湾〈おきなわフィールドブック ; 4〉、2007年。全国書誌番号: 21241120  ISBN 978-4-9901917-6-4
  • 藤原晴彦「(第11回)アゲハチョウの擬態はどのように進化したのか?」『細胞工学』第33巻第11号、学研メディカル秀潤社、1196-1200頁、 ISSN 0287-3796 掲載誌別題『Cell technology』。
  • 藤原晴彦「進化の謎をゲノムで解く:アゲハチョウの擬態のどのように進化したか」『細胞工学』、学研メディカル秀潤社、106-113頁、 ISSN 0287-3796 『細胞工学別冊』。

脚注

  1. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 14–17。CRID : 1523106605495907840
  2. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 18–22。CRID : 1523388079668407936
  3. ^ 『昆虫と自然』 2005, pp. 4–8。CRID : 1523669555109651584
  4. ^ 『細胞工学』 2014, pp. 1196–1200。CRID : 1524232505580603136
  5. ^ 『細胞工学』 2015, pp. 106–113。CRID : 1010282257459659274
  6. ^ 井上 A. 尚「シロオビアゲハ類の種間雑種と擬態の変遷」[1]、上杉兼司「シロオビアゲハの擬態」[2]、森中定治「擬態研究の経緯」[3]。藤原晴彦「(第11回)アゲハチョウの擬態はどのように進化したのか?」[4]、同「アゲハチョウの擬態のどのように進化したか 」[5]

関連項目

外部リンク


シロオビアゲハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 14:29 UTC 版)

ベニモンアゲハ」の記事における「シロオビアゲハ」の解説

ベニモンアゲハ幼虫時の食草であるウマノスズクサ類からアルカロイド取りこんで毒化し、敵から身を守るベニモンアゲハ鮮やかな体色は毒を持つことを周囲に示す警戒色である。 シロオビアゲハ Papilio polytes は、ミカン類を食草にする無毒種だが、この種の雌は遺伝的に多型で、地域によって様々な模様を持つ。それらの中には「ベニモン型」と呼ばれる体色タイプ存在し、自らの体色有毒種ベニモンアゲハ似せて敵から身を守っている。この例をベイツ型擬態と呼ぶ。雌の中におけるベニモン型の割合ベニモンアゲハ生息数が多い地域ほど高くなる傾向にある。またベニモン型の雌には変異があり、後翅白斑まったくない個体もいる。 ベニモンアゲハとシロオビアゲハはどちらも分布広く地域による個体差激しい。

※この「シロオビアゲハ」の解説は、「ベニモンアゲハ」の解説の一部です。
「シロオビアゲハ」を含む「ベニモンアゲハ」の記事については、「ベニモンアゲハ」の概要を参照ください。

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