擬態との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:05 UTC 版)
より特殊な現象として、チョウ類に見られる他種のチョウに擬態しているものの例がある。チョウの中にはマダラチョウやドクチョウなどの有毒な種があり、それに擬態するほかのチョウがあることが知られている。ところが、往々にして擬態を行うのが雌だけである例が見られる。 例えば日本の例では有毒のカバマダラ類に擬態した種としてツマグロヒョウモンやメスアカムラサキがある。これらのチョウはカバマダラに似た、全体に黄色い翅と前翅の先端に黒で囲まれた白い斑点をもつ。ところが、この擬態を示すのは雌だけである。雄ではそれぞれの類に一般に見られる斑紋に近い模様、つまりツマグロヒョウモンでは黄色地に黒い多数の斑点が、メスアカムラサキでは紫の翅に大きな白斑がある。 このようなことが起きるのは、一つには直接に産卵する雌が擬態した方が効果が高いこと、他方でチョウ類は翅の斑紋で雌雄の誘引が行われるので、雌に選ばれる雄の斑紋は変わりにくかったことが考えられる。つまり、雄には性淘汰が、雌には一般的な自然淘汰が働いたと見る。 さらに複雑なのは、雌に多形が出る場合である。たとえばシロオビアゲハは、雌に二形あって、一つは雄と同じ姿、もう一つは後翅に白と赤の斑紋があり、ベニモンアゲハに擬態していると考えられる。国外には、雌がより多くの型をもち、それぞれ別のチョウに擬態していると考えられている例もある。
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