シグナル伝達経路の要素と様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 05:43 UTC 版)
「シグナル伝達」の記事における「シグナル伝達経路の要素と様式」の解説
シグナル伝達の各段階を担う要素(分子)は様々であるが、およそ次のように分類できる。 セカンドメッセンジャー:cAMP、cGMP、カルシウムイオン、イノシトールトリスリン酸、ジアシルグリセロールなどの低分子化合物。それぞれ特異的なタンパク質に結合してその活性を変化させることでシグナルを伝える。 セカンドメッセンジャーを合成する酵素(cAMPを合成するアデニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase; アデニレートサイクレース)や、フォスフォリパーゼ(phospholipase; フォスフォライペース)など)や、カルシウムイオンを細胞質に透過させるイオンチャネル。 タンパク質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ):特定のタンパク質をリン酸化してその活性を変化させることでシグナルを伝える。リン酸化する位置によってチロシンキナーゼやセリン/スレオニンキナーゼなどに分けられるが、基質特異性は非常に多種多様である。経路上の位置も細胞膜上の受容体そのものから、経路の途中、転写因子を活性化するものなどがある。細胞増殖因子やインスリンの受容体自体あるいは受容体と結合するエフェクタータンパク質(チロシンキナーゼ)、糖代謝などの調節に関るAキナーゼ(cAMPにより活性化される)、いろいろな経路に関与するCキナーゼ(カルシウムイオンとジアシルグリセロールにより活性化される)や、細胞増殖制御に関わるMAPキナーゼカスケードなどがよく知られる。 タンパク質脱リン酸酵素(プロテインフォスファターゼ):キナーゼと逆に、リン酸除去反応を行う。 GTP結合タンパク質(Gプロテイン):GTPとその加水分解産物GDPを結合した状態で、それぞれオン・オフとして働く分子スイッチ。Gタンパク質共役受容体(GPCR)に結合して働くGタンパク質と、がん遺伝子rasの産物(Rasタンパク質)に代表される低分子型GTP結合タンパク質に分けられる。アデニル酸シクラーゼやプロテインキナーゼにシグナルを伝える。 タンパク質間の特異的結合:一部のサイトカインの受容体は、受容体同士、あるいは下流のタンパク質(エフェクター)と結合して複合体を作ることで活性を変化させシグナルを伝える。 カスパーゼ:プロテアーゼの一種で、アポトーシスを制御するシグナル伝達システムでカスケードを構成し、下流のタンパク質を開裂することで活性化する。
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