シグナル処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/20 15:23 UTC 版)
UNIXでファイルインタフェースに従わない数少ない例として、非同期イベント(シグナル)がある。シグナルはシグナルハンドラで受信する。シグナルハンドラは小さな制限されたコードであり、それが動作中はプログラム本体の処理はサスペンドされる。select()でブロック中にシグナルを受信して処理した場合、selectはEINTRというエラーコードを伴って早期に戻る。プログラムがCPUを使用している間にシグナルを受信すると、シグナルハンドラを実行する間は本体の実行がサスペンドされる。 したがってシグナルを考慮するには、シグナルハンドラで大域変数のフラグをセットし、イベントループのselect()呼び出しの直前と直後でそのフラグをチェックすればよい。フラグがセットされていたら、ファイル記述子でのイベントと同様にシグナルを処理する。しかしながら、この技法では競合状態が生じる。フラグのチェックとselect()呼び出しの間にシグナルが到着した場合、select()が他の理由で戻るまでシグナルを処理できない。 この問題を解決するため、POSIXではpselectシステムコールを提供している。これはselectに似ているがsigmaskという引数が追加されており、シグナルのマスクを設定できる。これを使えば、普段はシグナルをマスクしておき、selectを呼び出している間だけマスクを解除することができる。すると、シグナルは select がイベントを待ち受けている間だけ受信されることになる。ただし、pselect()が利用可能となったのは比較的最近のことで、たとえばLinuxの場合、Linuxカーネルのバージョン2.6.16より以前の版ではpselect()システムコールは実装されておらず、glibcでは競合状態の問題をはらんだ実装がなされていた。 より汎用的な代替技法として、非同期イベントをself-pipe trickと呼ばれる技法でファイルベースのイベントに変換してやる技法がある。これはシグナルハンドラでパイプに1バイトを書き込み、そのパイプのもう一方の端を主プログラムがselectで監視するという技法である。Linuxカーネル 2.6.22では、signalfd()という新システムコールが追加された。これはシグナル受信用の特別なファイル記述子を生成する。
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シグナル処理
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「シグナル (Unix)」の記事における「シグナル処理」の解説
signal()やsigaction()(英語版)システムコールは「シグナルハンドラ」を設定するのに使われる。シグナルハンドラが設定されていないシグナルの場合、デフォルトのハンドラが使われる。さもなくば、シグナルは捉えられ、シグナルハンドラが呼び出される。プロセスはハンドラを設定しなくとも2種類のデフォルト動作を指定できる。シグナルを無視するか(SIG_IGN)、デフォルトのハンドラを使うか(SIG_DFL)である。SIGKILLとSIGSTOPは、捉えることもハンドラで処理することもできないシグナルである。
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