グラウンド・エフェクト・カーの禁止とダウンフォースの獲得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 03:00 UTC 版)
「アクティブサスペンション」の記事における「グラウンド・エフェクト・カーの禁止とダウンフォースの獲得」の解説
1970年代後半から1980年代にかけて、F1界におけるデザインの主流は、サイドポンツーンの下面形状を翼形状とし地面効果(グラウンドエフェクト)によって強力なダウンフォースを得ていたグラウンド・エフェクト・カーであった。グラウンド・エフェクト・カーはサイドポンツーン底面のウィング形状部の空気の流れを乱さないため、またその側面からの空気の流出入を防ぐブラシもしくはサイドスカートを地面と接し続けさせるため、地上高を一定の範囲に保つ必要があり、サスペンションスプリングは非常に硬く設定され、ドライバーや車体にとっては負担が大きく、かつバンプ(突起乗り越え)時に車体と地面の距離が大きくなると突然ダウンフォースが失われるなど、非常に危険な乗り物となっていた。そこで安定した地上高とドライバーへの負担軽減の観点から、ロータス・88が認められなかったロータスにおいてアクティブサスペンションの開発が始められた。アクティブサスペンションがその効力を発揮しはじめる前に、安全性の問題から車体下面は平面でなければならないとする、通称「フラットボトム規定」が施行されることとなり、サイドポンツーンにより発生していたダウンフォースは失われた。 フラットボトム規定の中、新たな構造を模索してきたコンストラクター達は、風洞によるさまざまな実験においてフラットボトムの規制箇所以外の部分において適切な方法を取ることによって、失われたダウンフォースを獲得することが可能であることが明らかとなってきたのである。地面との距離を一定に保つことが可能であれば、グランドエフェクトカーと同じ効果が期待できるのである。この効果は速度と車高の変化に大変敏感であり、ミリ単位のセッティングの違いにより車体性能が大きく変化する。 当時のレギュレーションではレース中の給油が認められておらず、レース初めと燃料が少なくなるレース後半で車体重量が大きく変化し、さらに加減速時、コーナーリング時の車体の姿勢変化によって、絶えず車体下面と地面との距離が変わっていた。これを解消するため、当初はサスペンションのセッティングを硬くすることでこの変化を最小限に抑えていたが、路面からの衝撃を吸収するという本来の働きが失われてしまい、縁石などで車体が跳ねてしまうという問題を抱えていた(ただし同様のことはグランドエフェクトカー時代においても存在しており、より切実で前述のポーポイジングという現象が起こっていた)。 そこで車体姿勢および路面と車体下面との隙間を常に一定に保つことで常に強力な地面効果を得ながらサスペンションによる衝撃吸収力は犠牲にさせないようにという要求から研究が始まった。
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