キリストの遺骸をめぐる作品
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「キリストの墓」の記事における「キリストの遺骸をめぐる作品」の解説
1968年、エルサレムの北ギヴアット・ハ・ミヴタルで、磔刑の痕のある人骨が発見された。 ユダヤ戦争前の1世紀ごろのものと見られる。片方の足には曲がった釘と、木片がくっついていた。 骨壷にはその名をイエホカナンと記されていた。3-4歳と見られる彼の息子と、他の一人の成人の骨もいっしょに入っていた。 実際にあったこの事件にヒントを得て、アメリカ合衆国の作家リチャード・ベン・サピアが、ミステリー小説 The Body を1983年に発表した。小説の中でイスラエルで発見された遺骨にはアラム語で「ユダヤの王」と記された粘土板が掛かっていた。 これがイエス・キリストの遺骨とすれば、復活と昇天の教義が覆ることになると恐れたバチカン。それにイスラエルやソヴィエト連邦の政治的思惑とが錯綜し、物語は展開する。 人間イエスの秘密をバチカンが恐れ、陰謀が渦巻くという筋書きは、同じアメリカ合衆国の作家ダン・ブラウンによる『ダ・ヴィンチ・コード』にも影響を与えている。 The Body は、2000年にアメリカ合衆国とイスラエルの共同制作で映画化された。日本公開時の邦題は『抹殺者』。 小説の日本語訳は2002年に邦題『遺骨』(新谷寿美香[訳])として青山出版社から、2006年に『キリストの遺骸』上下巻が扶桑社ミステリー文庫として再出版された。 アメリカのダニエル・イースターマンの「墓の結社 Brotherhood of the tomb(二見書房 1992)」も、1968年の発見がヒントになっていると思われる。こちらは信仰の内容にはあまり踏み込んでおらず、カトリック教会の歴史の暗部とバチカン内部の権力闘争を描いている。 映画監督であるジェームズ・キャメロンとシムハ・ヤコブビッチが製作したドキュメンタリー映画 『キリストの棺』(The Lost Tomb of Jesus)では、1980年にアパート建設中であったエルサレムのタルピオットで発見された墓所を、イエスとその家族のものである可能性があるとしている。その内容は書籍化されており、日本語訳 も刊行されている。 このほかマイクル・コーディが、キリストの治癒能力の再現にまつわる小説『メサイア・コード』(旧邦題『イエスの遺伝子』)を発表している。
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